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ぬるぬるの湯に、賭け事さえ忘れた夜

ぬるぬるの湯に、賭け事さえ忘れた夜

旅の記憶に刻まれた、予想だにしなかった5つの瞬間

  • 2分間の全力疾走のような送迎バス:駅に降り立ち、冷たく湿った秋の空気を吸い込んだ直後、下呂温泉 ホテルくさかべ アルメリアの送迎バスに飛び乗った。誰が先に寝落ちするかというくだらない賭けに興じていたが、気づけば目的地に到着しており、「え、もう着いた?」と全員で顔を見合わせた。あまりに短すぎる移動時間に、判定を下す暇さえなかったのが可笑しくて、車内は一気に笑いに包まれた。
  • 胃がふわっと浮き上がる不思議な昇降体験:ロビーから客室へ向かう際、エレベーターが垂直ではなく斜めに昇っていくことに気づき、一同に小さな歓声が上がった。低く唸るモーター音と共に、胃のあたりが心地よく浮き上がる感覚は、まるで小さな遊園地のアトラクションに乗っているかのようだった。「これ、一体どこまで行くんだろうね」という誰かの呟きが、心地よい浮遊感に溶けていった。
  • 美容液にダイブしたかのような極上の湯浴み:8階の展望露天風呂に身を委ねた瞬間、肌に触れるお湯の質感が、これまで知っていた「お湯」の概念を軽々と超えていた。総檜造りの空間に漂う清々しい檜の香りに包まれながら、液体状の化粧水に浸かっているかのようなぬるぬるした感触に、「これ、明日までこのままでいいじゃん」と笑い合った。遠くに見える下呂の街明かりが、湯気に滲んでぼんやりとした光の粒のように揺れていた。
  • お皿の限界に挑んだ「盛りすぎ」選手権:夕食のバイキングでは、誰が一番プレートを高く積み上げられるかという、静かな、けれど熱い競争が繰り広げられた。地元の食材から立ち昇る濃厚な出汁の香りが鼻腔をくすぐり、食欲を激しく刺激する。最後には「もう一口も入らない」と嘆きながらも、別腹のデザートまで完食した時の、気恥ずかしいほどの満腹感と幸福感が今も忘れられない。
  • 銀色のすすきがささやく夜の静寂:ホテルを後にし、月明かりに照らされた夜の下呂をあてもなく歩いた。道端に生えていたすすきが、夜風に吹かれてさわさわと銀色の音を立てて揺れている。普段なら疲れを口にするはずのメンバーが、不思議とその静寂に心地よさを感じていたようで、会話が途切れても誰も気まずそうにしなかった。ただ、冷え込んできた夜風に、誰かが「そろそろ戻ろうか」と小さく笑った瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。

断片的な記憶が溶け合い、形を変えて

振り返れば、この旅は何かを癒やすためではなく、ただ心地よく時間を浪費するための儀式だった。それは暗い土の中で静かに殻を破ろうとする種のように、外からは見えないけれど、内部でゆっくりと関係性が変化していく時間。下呂温泉 ホテルくさかべ アルメリアという大きな器に、私たちのとりとめもない会話と、ぬるぬるのお湯の感触が溶け込んでいった。完璧な計画など不要で、予定外の空白こそが、後から笑い合える最高の宝物になるのだと感じた。

湯上がりの火照った頬に、冷たい夜風が心地よく触れたあの瞬間のことを、まだ覚えている。

  • 8階の展望露天風呂は、夜景が最も美しく輝く日没直後の時間帯に訪れるのがおすすめ。
  • 送迎バスは、駅に到着してから連絡するよりも、事前に時間を伝えておくと合流がスムーズ。