← 戻る ラフォーレ箱根強羅 湯の棲

桜の匂いがする部屋で、子供の足音が消えた

荷物と子供の足音が重なる玄関ホール


受付カウンターの木目は、触ったら指が沈み込むほど柔らかかった。 「お荷物、お預かりします」とスタッフが微笑むと同時に、二人の子供が靴を脱ぎ散らかした。 「待って、靴は揃えて!」と私が言おうとして、口をつぐんだ。 「この敷物、気持ちいいね」と上の子が裸足で踏みしめながら、ホールの隅まで走っていった。 床の温かさが、子供の足の小さな骨格にぴったりとフィットしているのがわかった。 「これ、木の匂いがする」と下の子が鼻をくんくんさせた。 私も同じ匂いを嗅いだ。桜の香りと混じった、どこか懐かしい木の匂い。 「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲」と書かれた看板の下で、私たちは初めて「ここ」にいると実感した。

庭園の桜が教えてくれた、子供の発見


部屋に向かう廊下の窓から、桜の枝がのぞいていた。 「桜って、こんなに近くで見たの初めて」と下の子が言った。 「桜の花びら、風に乗ってくるんだよ」と上の子が解説する。 でも、実際に桜の花びらが風に乗ってくるのは、翌朝の朝食の時だった。 「あった!温泉に桜の花びらが浮いてる!」と下の子が大声で叫んだ。 露天風呂の湯面に、桜の花びらが静かに揺れていた。 子供たちは裸足でデッキに出て、指先で花びらを拾おうとした。 「触っちゃだめ!」と上の子が慌てて止めた。 「でも、お湯の中に入れてもいい?」と下の子が尋ねた。 「いいよ、お湯に入ってるから汚れないよ」と上の子が答えた。 二人はこそこそと露天風呂に足を浸け、花びらを拾った。 「魚がいる!」と下の子が忽然叫んだ。 「え?」上の子が慌てて覗き込む。 「足の指だよ!」と下の子が笑った。 私たち一家は、その場で大笑いした。

子供たちの寝息と、大人のための静寂


夜の10時を過ぎた頃、子供たちは布団に潜り込んだ。 上の子は「明日は桜の下で朝ごはん食べたい」と言いながら、布団の中で丸まった。 下の子は「温泉の湯船で寝る」と宣言していたが、いつの間にか寝息を立てていた。 私は部屋の窓を開けた。 外からは、桜の花びらが風に乗ってカーテンに触れる音が聞こえた。 肌に触れる夜の空気は、春の匂いがした。 ベッドに横になると、敷布団の端が少し冷たかった。 でも、その冷たさが心地よかった。 「明日は、子供たちを庭園に連れて行こう」と私は思った。

チェックアウトの時、子供が泣いた


朝食会場に向かうエレベーターの中で、下の子が「もう一泊したい」と言った。 「次は夏に来よう」と私が答えると、下の子は「夏の桜も見たい!」と食い下がった。 上の子は「夏は虫が多いから嫌だ」と言いながらも、足を止めなかった。 チェックアウトの時、受付のスタッフが「またお越しください」と微笑んだ。 子供たちはスリッパを履き替え、ホールの敷物をもう一度踏みしめた。 「この敷物、気持ちよかったね」と下の子が言った。 「うん、また来よう」と上の子が答えた。
  • ラフォーレ箱根強羅 湯の棲のドッグルームに宿泊する際は、愛犬用のタオルやおもちゃを持参すると、より快適に過ごせます。
  • 4月の箱根は桜と新緑の季節。庭園の桜の下で、家族写真を撮るのがおすすめです。