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笑い声が湯気に溶けて見えなくなった

笑い声が湯気に溶けて見えなくなった

靴の底が凍ったアスファルトに張り付く、ぺたぺたと不快な音。耳たぶが感覚を失うまで、誰が一番に「寒い」と口にするか賭けていた。結果、駅を出て一分で全員が同時に叫んだ。帯広天然温泉 ふく井ホテルまでの距離はわずかだったけれど、刺すような冷気に肺が凍りつきそうで、その短い道がまるで北極圏への遠征のごとく感じられた。



炭火で焼かれた肉の香ばしい匂いが、冷え切った鼻腔を心地よくくすぐる。タレがたっぷり染みた豚丼を頬張ると、口の中が甘辛い熱量で満たされ、胃の底からじわりと体温が上がっていく。隣の友人が口の端にタレをつけたまま「最高」と呟く。その情けない顔さえ、湯気に包まれたこの街の景色の一部に見えた。


「そのダウンジャケット、完全にマシュマロじゃん」という容赦ないツッコミ。私たちは互いの不格好な格好を笑い合いながら、かじかんで真っ白になった指先を温め合った。正論よりも、くだらない冗談の方がずっと体温を上げてくれる。そんな気がして、私たちはわざと寒そうな格好で、雪の街をふらふらと歩いた。


部屋に入った瞬間、ふかふかの絨毯に足が心地よく沈み込んだ。誰が一番先にベッドにダイブするかという、大人げない競争が始まる。セミダブルのベッドに二人で無理やり潜り込み、互いの足がぶつかって笑い転げる。フィンランド式サウナで火照った体に、冷たいシーツのパリッとした感触が、最高の贅沢に感じられた。


窓の外では、街灯の淡い光を吸い込んだ雪が、音もなく静かに降り積もっていた。十二月の帯広の夜は、深い藍色をしている。誰もいない通りを眺めていると、世界の端っこに自分たちだけが取り残されたような、心地よい心細さが胸の奥に広がった。この静寂こそが、旅の本当の報酬だったのかもしれない。


茶褐色の濃い湯に身を沈めたとき、肌が吸い付くようにすべすべになる感覚があった。植物の記憶が数千年かけて溶け込んだ、植物性天然モール温泉。熱いけれど、不思議とずっと浸かっていたい。皮膚の境界線が曖昧になって、自分という個体が、帯広の深い大地と混ざり合っていくような錯覚に浸っていた。


朝食会場で出会ったスタッフの方の、お節介なほどの屈託のない笑顔。おかわりを促す手つきが鮮やかで、気づけばお皿が山盛りになっていた。和洋選べる朝食の贅沢さに、予定していたダイエット計画はあっけなく崩れ去った。けれど、その温かいおもてなしに、心まで満たされていくのが分かった。


カウントダウンまであと少し。帯広天然温泉 ふく井ホテルのロビーで、私たちはあえて詳細な計画を立てなかった。どこへ行くかではなく、誰と一緒にいるか。それだけで十分だと思える夜があった。冷たい空気の中で、吐き出す息だけが白く、そして驚くほど温かかった。

最後の一口のコーヒーが冷めるまで、私たちはただ笑っていた。

  • 豚丼のタレが服につく前に、全力で味わい尽くしてほしい。
  • モール温泉の後の、あの肌のすべすべ感をぜひ体験して。