← 戻る ホテルフォルツァ札幌駅前

靴の底に残った雪が、ゆっくりと溶けていく時間

肺の奥まで白く染まる、凍てつく街の鼓動

足裏から伝わる「ギュッ、ギュッ」という雪を踏みしめる音。それは冬の札幌が刻む一定のリズムであり、まるで街全体が低いビートを刻んでいるかのようだ。札幌駅の南口を出てからホテルまでのわずか4分。大人には何でもないその短い距離さえ、子供たちにとっては未知なる世界を切り拓く壮大な冒険のステージになるらしい。「ここが本当の北国なんだ!」と、上の子が少し背伸びをした大人びた口調で言い、下の子は自分のマフラーが長すぎて、何度も雪の中に潜り込んでは「真っ白!」と歓声を上げている。鼻の頭を真っ赤に染め、長い睫毛に小さな氷の粒を宝石のように纏った子供たちの横顔を見ていると、刺すような寒ささえも、冬という季節が持つ一つの心地よいテクスチャのように感じられた。街の喧騒は、氷点下の冷たい空気によって鋭く切り取られ、遠くで鳴る車のクラクションさえも、どこか現実味のない、厚いフィルターを通した遠い記憶のような音に聞こえていた。そんな静謐な緊張感の中、視界に飛び込んできたのが、都会の喧騒を拒むように静かに、けれど温かく佇むホテルフォルツァ札幌駅前の入り口だった。

境界線を越え、静寂と温もりに塗り替えられる瞬間

重いガラス扉を押し開けた瞬間、外の世界の鋭いノイズがふっと途切れた。それはまるで、完璧に調律されたスタジオの防音壁の中に足を踏み入れたときのような、心地よい圧迫感を伴う静寂だった。同時に、肌を刺していた冷気が、魔法のように柔らかな温もりに書き換えられていく。ロビーに漂うのは、洗練されていながらもどこか懐かしさを感じさせる、清潔なリネンの香りと、かすかに混じるワインの芳醇な匂い。ロビーに設置されたワインサーバーの深い赤色が、冬の青い景色に疲れた目に心地よく飛び込んでくる。チェックインの手続きを待つ間、下の子がふかふかの絨毯の感触に驚いて、わざと足踏みをし始めた。その小さな足音が、モダンなインテリアに囲まれた空間に、ぽつり、ぽつりと優しい波紋のように広がっていく。ここは、外の嵐から私たちを切り離してくれる、静かなシェルターのような場所なのだ。

家族という名の小さな王国、安らぎの聖域

部屋のドアを開けた瞬間、子供たちは弾かれたように中へ飛び込んでいった。コンフォートダブルの空間は、大人にとっては機能的で「スマート」な設計なのだろうけれど、子供たちにとっては、自分たちだけの秘密基地を構築するための真っ白なキャンバスなのだろう。カッシーナ・イクスシーの洗練されたインテリアが醸し出す現代的な空気感の中で、シモンズ製ベッドの適度な反発力に気づいた上の子が、「見て、跳ねるよ!」と小さくジャンプし、それに便乗して下の子がダイブする。シーツのパリッとした清潔な質感と、身体を包み込むふっくらとした重量感。その心地よさに、大人の私もつい、荷物を放り出して横になった。

天井から降りてくる静かな空調のハミングが、心地よいホワイトノイズとなって、旅の心地よい疲れをゆっくりと解きほぐしていく。壁の質感や、計算された照明の角度。それらすべてが、外で張り詰めていた神経を、ゆっくりと緩めてくれる。子供たちがベッドの上で、誰が一番遠くまで転がれるかを競い合っている。そんな、どうでもいいけれど、かけがえのない時間が、この部屋という器の中にゆっくりと溜まっていく。もしかすると、旅の本当の目的は、有名な観光地を巡ることではなく、こうして誰かと一緒に、何の意味もない時間を共有することにあるのかもしれない。この密室という名の王国の中で、私たちはただ、家族であることの心地よさに浸っていた。ホテルフォルツァ札幌駅前という静かな拠点が、私たちの絆をより密接に結びつけてくれた気がした。

窓越しに眺める、青い静寂と光の粒子

夜が深まり、子供たちが深い眠りに落ちた後、私は一人で窓際に立った。冷たいガラスに額を押し当てると、外の極寒が指先から伝わってくる。窓の外には、札幌の夜景が、まるで誰かが丁寧に調律した音階のように、等間隔に光を灯していた。遠くに赤レンガ庁舎の輪郭がぼんやりと見え、時折、通り過ぎる車のヘッドライトが、雪の上に一筋の光の線を引いては消えていく。

部屋の中の絶対的な温もりと、窓の向こうに広がる極寒の世界。その鮮やかな対比が、今ここにいるという安心感を、より鮮明に際立たせていた。昼間の喧騒が、心地よい残響となって心の中に残っている。子供たちの無邪気な笑い声、雪を踏みしめる乾いた音、ホテルのスタッフの穏やかな声。それらが重なり合って、一つの楽曲のように記憶に刻まれていく。明日になればまた、あの冷たい空気の中に飛び込んでいくのだろう。けれど、ここに戻ってくれば、またあの温もりが待っている。そう思うだけで、冬の夜が、少しだけ愛おしく感じられた。

明日、目が覚めたら、まずはあの香ばしい朝食ビュッフェの匂いを探してみよう。

  • ロビーのワインサーバーで、一日の終わりに自分への小さなご褒美を。
  • 札幌駅からの徒歩4分の道を、あえてゆっくり歩いて、雪の表情の変化を探してみてほしい。