← 戻る 神戸プラザホテルウエスト

3つのスーツケースが領土争いをした夜

3つのスーツケースが領土争いをした夜

誰が予約したかさえ曖昧なまま、私たちは神戸に降り立った

五月の神戸は、雨上がりのアスファルトの匂いと、新緑の青い香りが混じり合う季節だ。元町駅の改札を出た瞬間、誰かが「誰がホテル予約したんだっけ?」と問いかけ、全員が同時に黙り込んだ。あの気まずい数秒間の静寂。結局、スマホの履歴を掘り起こして、神戸プラザホテルウエストに向かうことになった。三人の足音と、キャスターが路面を叩く不規則なリズムが、心地よい混乱を奏でている。ロビーに足を踏み入れると、落ち着いた色のインテリアと冷房の効いた澄んだ空気が肌をなで、自動チェックイン機の青白い光が私たちを静かに迎えてくれた。

このホテルが私たちに教えてくれた四つのこと

一、スーツケース・テトリスの極意
コーナーツインという限られた四角い空間に、大人三人と巨大な荷物を詰め込むのは、もはや高度なパズルだった。誰のバッグをどこに配置するかで密かに領土争いが始まり、結果的に通路を完全に塞いだ状態で「すみません、通してください」と互いに言い合うという、滑稽な状況が完成した。

二、ハイテクとアナログな会話の共存
部屋にはアンドロイドテレビや超高速のワイファイが完備されていたけれど、結局私たちが一番時間を費やしたのは、ベッドの端に座ってとりとめもない昔話をすることだった。指先でユーエスビーポートを探る動作よりも、相手の笑い声に耳を傾ける時間の方が、ずっと贅沢に感じられたのかもしれない。

三、二分間の距離がもたらす誘惑
南京町まで歩いて二分という立地は、便利すぎて危険だ。ロビーに降りた瞬間、どこからか漂ってくる点心の湯気と香りが、私たちのダイエット計画をあっさりと崩壊させた。「小籠包、食べていいよね?」という確信犯的な問いかけに、誰も反対する権利は持っていなかった。

四、セミダブルベッドという名の境界線
シーツのパリッとした清潔な感触と、絶妙に柔らかい枕。狭い空間だからこそ、誰が一番外側に寝るかという静かな戦いがあり、相手の寝返りのタイミングで「あ、ごめん」と謝り合う。そんな不自由さが、不思議と心地よい親密さを連れてきた。

リストにない、予定外の散歩道

ガイドブックに載っているポートタワーへ向かう途中で、私たちはわざと細い路地に入り込んだ。五月の神戸は至る所にバラや藤の花が咲いていて、その濃厚な香りが服にまで染み付く。計画していたルートを外れ、名前も知らない小さなカフェを見つけたとき、ふと、この旅の正解は「予定をこなすこと」ではなく「予定を壊すこと」にあるのだと感じた。新緑の葉の間から漏れる光が、歩道に不規則な模様を描いている。私たちはそこで冷たいアイスコーヒーを飲みながら、誰が一番ひどい方向感覚を持っているかを笑い飛ばし合った。正解のない議論をしながら歩く時間は、どんな観光名所を巡るよりも、私たちの絆の輪郭をはっきりとさせてくれた。神戸プラザホテルウエストを拠点に、あえて迷子になる贅沢を味わった一日だった。

窓の外に広がる神戸の夜景が、グラスの中の水に静かに溶け込んでいた。

  • 朝八時の南京町を歩いてみて。観光客が少ない時間にだけ聞こえる、街が目覚める音が心地いい。
  • 宿泊者専用ラウンジで、旅の終わりに「誰が一番の間違いを犯したか」を話し合ってほしい。