← 戻る 京都東急ホテル

パジャマの裾が絨毯に擦れる音

パジャマの裾が絨毯に擦れる音

心に刻まれた、家族の記憶を奏でる五つの音

ザッ、ザッ。厚い絨毯に小さな足が沈み込む、柔らかくも心地よい音。次男がパジャマ姿のまま、部屋の中を小さな冒険家のように走り回っている。京都東急ホテルの整然とした静寂という石組みの間に、家族という名の鮮やかな苔がゆっくりと、けれど確実に広がっていく。その賑やかさが、ホテルの持つ気品ある静けさと溶け合い、心地よいリズムを刻んでいた。

シューッ。午前7時、ネスプレッソが深い琥珀色のコーヒーを抽出する低い唸り。まだ子どもたちが深い夢の中にいる、大人のためだけに許された短い聖域だ。温かいカップを両手で包み込むと、焙煎の香ばしい香りが鼻腔をくすぐり、指先からゆっくりと体温が戻ってくる。この静寂だけは、誰にも譲りたくない贅沢な時間だと、心の中で密かに呟いた。

クスクス。バルコニーで、真っ赤なもみじの葉を宝物のように握りしめて笑う長女の声。ひんやりとした秋の空気が頬を撫で、小さな指先が繊細な葉脈をなぞっている。「ここ、お城みたいだね」という無邪気な独り言に、大人が引いた完璧な旅程表なんて、この一枚の葉っぱの前では何の意味もなさないのだと気づかされる。秋の光が彼女の横顔を黄金色に染めていた。

カチャリ。重いドアが閉まり、鍵が掛かる心地よい金属音。外の冷たい秋風を完全に遮断し、部屋の柔らかな温もりに包まれる瞬間だ。不意に次男が絨毯にダイブして、「ここ、最高!」と叫ぶ。その愛らしい乱雑さが、洗練された空間に家族の体温を吹き込み、ここを本当の意味で「私たちの場所」に変えてくれる。

スースー。シモンズベッドの深い包容力に身を任せ、規則正しく繰り返される子どもの寝息。薄暗い間接照明の下で、小さな胸の上下を眺めていると、旅の心地よい疲労が心地よい重力となって体に馴染んでいく。言葉にならない安心感が、部屋の隅々まで満ちていく。この静かな夜が、明日への活力に変わる瞬間だった。

玄関に並んだ、大きさの違う四足の靴。家族の歩幅が重なり合う、静かな夜。

  • 西本願寺まで歩く道すがら、子どもと一緒に「一番赤い葉っぱ」を探して歩くのがおすすめ。
  • 朝食のブッフェで、子どもたちが自分だけのオリジナルプレートを作る時間をゆっくりと楽しんで。