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家族で分かち合った、名もなき5つの断片

エアコンの低いハム音が、部屋の中に一定のリズムを刻んでいる。外は八月の苗栗。肌にまとわりつくような重い湿度と、いつ降り出すかわからない午後の雷雨。そんな気候の中、禾家商旅のモダンな白い壁に囲まれていると、外の世界がまるで遠い国の出来事のように感じられた。家族旅行というのは、ある種の「チーム作戦」のようなものだ。誰かが機嫌を損ねれば作戦は崩れ、誰かが意外な発見をすれば、予定になかった方向へ心地よく迷い込む。私たちは、そんな不確かな時間を分かち合いにここへ来た。

正直に言うと、私は「洗練された家族旅行」なんて無理だと思っていた。実際、チェックインしてすぐに下の子がホテルのバスローブをマントに見立てて廊下を駆け回り、上の子は「お腹が空いた」と何度も繰り返していたから。けれど、そんな騒がしささえ、この部屋の静かな質感に溶け込んでいく。特に、機能的に配置された書房空間の凛とした空気感は、親である私に一時の静寂を与えてくれた。完璧に計画された旅よりも、こうした小さな混乱がある方が、後で思い出した時に体温を感じられる気がする。

家族で分かち合った、名もなき5つの断片

1. 部屋に届いた朝食のトレイ:ドアをノックする控えめな音と、トレイが床を滑る小さな摩擦音。蓋を開けた瞬間に立ち上がる、温かいお粥の湯気と、中式と西式が混ざり合った不思議に食欲をそそる香り。一番下の子が、自分専用の小さなカップを見つけて、誰よりも先に歓声を上げた。

2. 小さなバルコニーの湿った風:ガラス戸を開けた瞬間に流れ込んでくる、熱を帯びた風。雨上がりのアスファルトが放つ、少しだけ土臭い懐かしい匂い。遠くに見える山の稜線が、湿った空気のせいで淡い青色に滲んでいた。上の子が、指を差して「あそこに雲の城がある」と呟いた瞬間、世界が少しだけ広く見えた。

3. バスルームの白いタイル:裸足で踏んだ時の、ひんやりとしたタイルの温度。浴室と洗面所が分かれているおかげで、子供たちが水遊びに夢中になっても、私は静かに鏡の前で呼吸を整えることができた。浴槽に溜まったお湯の温度が心地よく、肩まで浸かった時に、一日中張り詰めていた意識がゆっくりとほどけていく感覚を、私だけが静かに味わっていた。

4. ピンと張った白いシーツ:外の暑さを忘れるほど冷えた部屋で、潜り込んだシーツのパリッとした質感。清潔なリネンの香りが鼻をくすぐり、肌に触れる生地の冷たさが、火照った体を優しく包み込んでくれる。真ん中の子が、「雲の上に寝てるみたい」と、シーツに顔を埋めて幸せそうに笑っていた。

5. つるつるしたワンタンのスープ:店内に漂う、出汁の深い香りと賑やかな話し声。口の中でつるりと滑るワンタンの皮と、添えられた筍の控えめな甘み。熱々のスープを啜りながら、みんなで顔を見合わせて「美味しいね」と頷き合った。その瞬間だけは、誰一人として不満を言わず、ただ目の前の味に集中していた。

「明日もまた、この心地よい混乱の中にいたいな」と、誰かが小さく呟いた。

  • 英才夜市まで歩く道中、あえて地図を見ずに、子供たちが指差した「面白い看板」だけを辿ってみてほしい。
  • 朝食はあえてゆっくりした時間を指定し、パジャマのままで部屋の中で完結する小さなパーティーをすること。