小さな手のひらが、コートのポケットの中で温かかった
指先がじんわりと冷たい。吐き出した息が白く濁り、目の前でゆっくりと形を失っていく。一月の那須高原は、空気が研ぎ澄まされていて、肺の奥まで冷たい針で刺されるような感覚がある。でも、コートのポケットの中で握りしめた子供の手は、驚くほど熱かった。…
小さな肩に、一枚だけ花びらが止まった
シャトルバスのドアが開いた瞬間、肺の奥まで入り込んできたのは、しっとりと湿り気を帯びた14度の空気だった。それは春の訪れを告げる柔らかな風というよりは、冬が名残惜しそうに指先をかすめていくような、少しだけ鋭い温度。隣では次男が「桜はどこ?」…