小さな靴音がカーペットに吸い込まれるとき
三月の風は、まだ冬の記憶を色濃く残している。静岡駅の北口を出た瞬間、ひんやりとした空気が頬を叩き、隣で長男が「あっちにホテルがある!」と弾んだ声を上げた。東横INN静岡駅北口まで歩くわずか五分という時間は、大人にとってはほんの一瞬の移動に過…
12月 family U
15 まぶたの裏に、小さな光が残っていた
十二月の静岡は、空気が鋭く、鼻の奥がツンとする。駅北口からホテルへ向かうわずか五分間の道のりさえ、アスファルトの冷たさが靴底を通してじわりと伝わってくる。隣では次男が「空気が凍ってる!」と大騒ぎし、長女は「寒いから早く入りたい」と不機嫌そう…