冷えた指先と、湯気の向こうの顔
下の子が、チェックインしてツインルームのドアが開いた瞬間、弾かれたようにベッドへ向かって猛ダッシュした。足裏に触れるカーペットの、心地よく厚みのある感触。パタパタと部屋に響き渡る、弾むような足音。上の子は「危ないよ」と口では言いながら、自分…
湿った浴衣の匂いと、小さな足音
7月の静岡。駅の自動ドアが開いた瞬間、肺の奥まで熱い空気が流れ込んでくる。湿度をたっぷりと含んだ風が肌にまとわりつき、アスファルトからは陽炎がゆらゆらと立ち上がっていた。どこからか漂ってくる祭りの準備の匂いと、都会特有の乾いた排気ガスの香り…