大きすぎるバスローブにくるまった、静かな時間
コートの襟を立てても、隙間から入り込む二月の風が、頬を鋭く撫でていった。潮見駅に降り立った瞬間、肺の奥まで凍りつくような冷気に、隣で上の子が「寒い!」と叫び、下の子が私のコートの裾をぎゅっと握りしめている。そんな、少しだけ兵慌てした状態で、…
靴底についた桜の花びらを、じっと眺めていた時間
ロビーに足を踏み入れた瞬間、硬い床にぶつかるキャリーケースのゴロゴロという乾いた音が、いくつもの層となって空間に響き渡った。4月の空気はまだ鋭さを残しており、外から持ち込んだ春の湿り気が、靴底を通じてじわりと伝わってくる。チェックインを待つ…