← 戻る アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉

朝の青い光と、濡れた髪の匂い

足の裏に触れるタイルの、ひんやりとした滑らかな感触。下の子が脱ぎ捨てたバスタオルの上に、小さな水滴が点々と散らばっている。お風呂上がり、廊下を裸足で走る子供たちの足音が、厚いカーペットに吸い込まれていく。石鹸の甘い香りがふわりと漂い、水面に落ちた雫がゆっくりと広がっていくように、静かだった部屋に一気に賑やかさが浸透していく。そんな心地よい混乱が、この旅の本当の始まりだったのかもしれない。


肩まで浸かったお湯の、ずっしりとした心地よい重み。アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉の準天然光明石温泉の熱が、凝り固まった背中の筋肉をゆっくりと解きほぐしていく。隣では上の子が「見て、泡が出てる!」と大はしゃぎしていて、大人の休息とは程遠い状況。けれど、その騒がしさが、かえって心地よいリズムに感じられた。水面に浮かぶ小さな波紋が重なり合うように、家族の個性がぶつかり合いながら、一つの心地よい温度に溶け込んでいく感覚。そんな時間が、今の自分には必要だった。
耳の奥で小さく鳴る、エレベーターが上昇する時の独特な風切り音。35階の高層階まで一気に運ばれるとき、鼓膜がわずかに圧迫されるあの感覚。窓の外に広がるみなとみらいの景色が、まるで深い青色の液体の中に沈んでいるように見える。遠くで鳴る車のクラクションや街の喧騒が、厚いガラスに遮られて、心地よい低周波のハミングに変わる。音のない世界に、家族の小さな話し声だけが輪郭を持って響いていた。
朝食ビュッフェの、炊きたての白いご飯から立ち上る真っ白な湯気。お味噌汁の温かさが指先から伝わり、胃のあたりがじんわりと緩んでいく。下の子が「これ、おいしい!」と口の周りをソースだらけにして笑っている。実際は、優雅な朝食とは程遠い戦場のような食卓だったけれど、その乱雑さがかえって安心感を与えてくれる。春の陽光を浴びて、プレートの上に並んだ色とりどりの料理が、宝石のようにキラキラと光を反射していた。
午前6時の、まだ世界が完全に目覚めていない時間。部屋に差し込む光は、深い藍色から淡い水色へとゆっくりとグラデーションを変えていく。窓ガラスに結露した小さな水滴が、重力に引かれてゆっくりと線を書きながら流れ落ちていく。その速度に合わせるように、呼吸を深くしてみる。横浜の街が、ゆっくりと液体のように動き出し、新しい一日が静かに流れ込んでくるのが分かった。
自分にはあまりに大きすぎる、ホテルの白いバスローブ。それを無理やり着て、「お姫様みたい」と鏡の前でくるくる回る下の子。裾が床に引きずられて、あちこちにシワが寄っているけれど、その不格好さがたまらなく愛おしい。指先で触れた生地の、少しだけ硬いけれど清潔な感触。旅の途中で見つけた、なんてことない小さな幸せが、記憶の底に静かに沈殿していく。
ベッドの上に並んで座り、明日行く場所を地図で確認し合う時間。誰かが話し始めると、誰かがそれに被せて話し出す。それでも、不思議と不協和音には聞こえない。むしろ、バラバラな音色が重なり合って、一つの心地よい曲になっているような気がした。外では春の風が吹き抜け、桜の花びらが街の隙間に吸い込まれていく。私たちはただ、そこに一緒にいるという心地よさに身を任せていた。

心地よい疲労感に包まれて、家族全員が深い眠りに落ちる夜。

  • 子供と一緒に大浴場でゆっくり過ごした後は、お部屋で冷たい飲み物を飲みながら、今日一番面白かった出来事を話し合うのがおすすめ。
  • 桜木町駅からのアクセスが良いので、チェックアウト後に赤レンガ倉庫までゆっくり歩いて、春の風を感じながら散歩してみてください。

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