窓の隙間から、春の匂いが少しだけ混ざっていた
頬を刺すような3月の冷たい風が、駅の出口で私たちを待ち構えていた。横浜駅の雑踏は、まるで巨大な生き物が呼吸しているかのように騒がしく、上の子は「僕が地図を持つよ」と意気込んでいたけれど、実際には何度も方向を間違えていた。下の子は私のコートの…
10月 family U
44 袖を引く小さな手の、かすかな温もり
ロビーの磨き上げられた大理石に、プラスチックの車が「カラン」と弾けた音。柔らかな間接照明が床に反射し、空間には微かにアロマの香りが漂っている。下の子が興奮して手放したおもちゃが、静謐な空間に小さな波紋を広げた。スタッフの方がふわりと微笑んで…