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湯気の中で、誰が一番赤くなっていたか

5年後の私たちへ。今の私たちは、まだくだらないことで言い合い、それでも一緒に旅に出る勇気がある。別府の温かい風と、少しだけ気まずかったあの沈黙さえも、今の私たちにはかけがえのない景色に見えているはず。

記憶の底に沈殿し、5年後も色褪せない断片

ひんやりとしたカードキーと、ほどけそうな帯の記憶: リゾーピア別府のフロントで受け取ったプラスチックの冷たさが、まだ手のひらに張り付いている。部屋に入り、畳のい草が心地よく香る空間で急いで袖を通した浴衣。けれど、帯を適当に結びすぎた君が、「あれ、なんか緩くない?」と不安げに笑いながら歩くたび、裾がはだけそうになっていた。廊下を歩くたびに聞こえる衣擦れの音と、裸足で触れる畳のぬくもり。不器用な結び目が象徴していた、あの頃のちょうどいい距離感が、今思い出してもひどく愛おしい。

視界を白く塗りつぶす湯気と、熟したトマトのような頬: 温泉に浸かった瞬間、肌を刺すような熱さに「あついっ!」と同時に叫んだこと。濃密な白い湯気に包まれ、誰が誰だかわからない幻想的な世界の中で、お互いの顔が熟したトマトのように真っ赤に染まっているのを見て、同時に吹き出した。硫黄の香りが鼻をくすぐり、お湯の重みが肩の強張りをゆっくりと溶かしていく感覚。湯船から上がった後、もこもことしたタオルの柔らかさに顔を埋めたとき、私たちは言葉を介さずとも、同じ温度で笑い合えていた。

アスファルトに舞う桜と、街が吐き出す白い吐息: 別府の街を歩けば、マンホールから絶え間なく立ち上る白い煙と、風に舞う淡いピンクの花びらが空中で溶け合っていた。青い空を背景に、白とピンクが混ざり合う不思議なコントラストに心を奪われ、「花びらを踏まずに歩けるか賭けない?」なんて、子供のような遊びに本気で取り組んだこと。頬を撫でる春風に混じるかすかな硫黄の匂いと、スニーカーがアスファルトを叩く軽快なリズム。街全体が大きな生き物のように呼吸している心地よさに、私たちはただ身を任せていた。

最後の一口のとりてんを巡る、静かなる心理戦: 地元のとりてんを囲み、最後の一つが残った瞬間に流れた、張り詰めた静寂。誰が一番「今日はたくさん歩いたから、エネルギーが必要だ」と説得力のあるアピールができるかという、くだらないけれど真剣な駆け引き。箸先がわずかに震えるほどの緊張感と、店内に流れる穏やかなBGMのギャップ。結局は半分こにしたけれど、あの執着心こそが私たちの友情の正体だった。サクッとした衣の快い音と、甘辛いタレが口いっぱいに広がった幸福感は、今思い出しても胃袋が疼く。

5年後の封印を解いたとき、ふいに蘇る景色

5年後、私たちはきっと違う場所に立ち、違う悩みを抱えているだろう。けれど、リゾーピア別府の大きなベッドにダイブして、夜通しとりとめもない話で盛り上がった記憶だけは、鮮明に残っているはずだ。シーツのパリッとした感触や、湯上がりに肌を撫でた冷たい夜風。そんな断片が、ふとした瞬間に当時の笑い声を連れてくる。一緒に迷い、間違えることを楽しめたこの時間は、未来の私たちにとって、どんな宝石よりも価値のあるお守りになるだろう。

ぬるくなった缶コーヒーと、まだ少し赤い頬。

  • 湯上がりに、あえてコンビニの冷たいアイスを頬張る贅沢を。
  • 予定をすべて白紙にして、風が吹いた方向にだけ歩いてみる。