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氷がグラスに当たる音と、遠い花火の残響

5年後の私たちへ。あの時、肌にまとわりつくような湿った夜風と、笑いすぎてお腹が痛かった記憶を覚えているかな。きっと記憶の端の方はぼやけているだろうけど、今の私たちは、この贅沢な時間が永遠に続くような錯覚の中にいるよ。

5年後も身体が覚えている、あの夏の断片

帯がうまく結べず、途方に暮れて立ち尽くしたこと。
浴衣の麻のざらりとした感触が指先に残り、もがけばもがくほど布が複雑に絡まっていく。「もう無理、誰か助けて!」という悲鳴に近い笑い声が、白を基調とした清潔な部屋に響いた。窓から差し込む午後の柔らかな光が、もがく私たちの姿を滑稽に照らしていたけれど、そんな不器用な自分たちをさらけ出せた時間が、どんな完璧な写真よりも鮮明に心に刻まれているはずだ。

エグゼクティブキングの広大なベッドに、無理やり潜り込んだ瞬間の冷たさ。
パリッと張り詰めたリネンの清潔な香りと、火照った肌に心地よい冷気が混ざり合う。誰が真ん中を陣取るかでくだらない言い争いをしたけれど、結局はパズルのように重なり合って、深い溜息をついた。深夜3時、誰かが漏らした奇妙な寝言に全員で同時に失笑したあの空白の時間。広すぎるベッドが、私たちの物理的な距離を縮め、心の壁さえも溶かしてくれた気がする。

祭りの喧騒が、WITH THE STYLE FUKUOKAのドアを閉めた瞬間に消えたこと。
外では太鼓の地響きのような音が鳴り響き、人々の熱気が渦巻いていた。けれど、アーバンリゾートの静寂に包まれた部屋に入った瞬間、世界から音が消え、心地よい「残響」だけが残った。間接照明の柔らかな光が部屋を包み、エアコンの冷気が汗ばんだうなじをなでる。ここだけが都市の喧騒から切り離された、私たちだけの秘密の聖域のように感じられた。

博多駅からホテルまで、わざと歩幅を緩めた7分間のリズム。
舗装された路面を叩くサンダルの乾いた音と、夜の闇に溶け込む屋台の醤油が焦げた香ばしい匂い。湿り気を帯びた夜風が、火照った頬を心地よく冷やしてくれる。急ぐ理由なんてどこにもなかった。ただ、この心地よい疲労感をもう少しだけ引き延ばしたいと、私たちはわざと遠回りをした。道端の街灯が作り出す長い影を追いかけながら、この夜が終わらないことを願っていた。

5年後の自分が、この記憶の封印を解いたとき

私たちはきっと、食べたものの名前や訪れた場所の順番は、夏の霧のように忘れているだろう。けれど、サウナ後の水風呂で皮膚がじりじりと震えた感覚や、深夜に誰かがこぼしたシャンパンの甘い香りは、ふとした瞬間に蘇るはずだ。記憶とは正確な記録ではなく、心地よい周波数の重なりのようなもの。祭りの喧騒という強い音が消えた後に、静かに残っていた私たちの笑い声。あの夏の夜の残響が、今の私たちを形作り、不器用な自分たちを愛おしく思い出させてくれるだろう。

冷えたシャンパンの黄金色の泡が、ゆっくりと消えていくのを眺めていた、あの静謐な時間。

  • 浴衣を着るなら、帯の結び方を事前に動画で予習しておくことを強くおすすめします。
  • チェックアウト後のラウンジで、あえて何もしない贅沢な時間を30分だけ作ってみてください。