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濡れた髪から滴る、春の光の粒

春の博多、家族の記憶を刻む五つの音

「タッタッタッ」と、ロビーの滑らかな大理石を駆ける小さな靴の音。チェックインを待つ間、上の子が「早くお部屋に行きたい!」と弾んだ声で急かし、下の子はただ走る快感に身を任せてリズムよく床を叩いている。ふわりと漂うアロマの香りと、高い天井から降り注ぐ柔らかな光の中で、その不規則な足音は、この旅が計画通りにはいかないことを告げる、心地よい前奏曲のように響いた。

「ザバーン」と、天然温泉の湯船に飛び込んだ時の重厚な音。西鉄ホテル クルーム博多 天然温泉博多駅前の湯の、白く濃密な湯気の中で、子供が「お魚さんがいる!」と歓声を上げた。自分の足の指を魚に見立てた微笑ましい勘違いが、プリズムのように光を乱反射させる水面と共に、空間全体に柔らかく広がっていく。露天風呂の心地よい温度が肌にまとわりつき、日常で張り詰めていた肩の力がゆっくりと溶け出していくのが分かった。

朝食ビュッフェで、陶器の皿とカトラリーが触れ合う軽やかなリズム。子供が「イチゴをあと三つだけ!」と真剣な眼差しで交渉し、それに苦笑いしながら「もう十分だよ」と応える夫の低いトーン。完璧なマナーなどどこにもないけれど、その賑やかさが、家族という心地よい重みを持って心を満たしていく。焼きたてのパンの香ばしい匂いが、まだ微睡みのなかにいた意識を静かに呼び覚ましてくれた。

博多駅へ向かう道すがら、春の風が桜の花びらを揺らす、かすかな「サワサワ」という囁き。指先をぎゅっと握りしめる子供の手の確かな温もりと、頬を撫でる少し冷たい空気のコントラストが鮮やかだ。駅までのわずかな道のりさえ、淡いピンク色の花吹雪に包まれ、特別な映画のワンシーンのように感じられる。街の喧騒さえも、新しい季節への期待を孕んだ心地よい音楽のように聞こえた。

深夜、家族が寝静まった後に、ふかふかのベッドに体を沈めた時の「ふぅ」という深い吐息。リネンのひんやりとした清潔な感触が肌に触れ、やがて体温でゆっくりと温まっていく。一日の心地よい疲れが、物理的な重さとなってマットレスに吸い込まれていく。静寂が部屋を満たし、遠くで聞こえる博多の街のハミングが、西鉄ホテル クルーム博多 天然温泉博多駅前の湯で過ごした一日の終わりを、静かに肯定してくれている気がした。

枕元に、一枚だけ迷い込んだ桜の花びらが、月光に白く光っていた。

  • 博多駅からホテルまで、あえてゆっくり歩いて、街の呼吸と春の匂いを深く吸い込んでみる。
  • 大浴場の露天風呂では、大人の常識を脱ぎ捨てて、子供と一緒に白い湯気に包まれる贅沢を。