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コンビニの袋が、狭い部屋に鳴り響いた夜

コンビニの袋が、狭い部屋に鳴り響いた夜

真夜中の空腹は、誰のせいでもない

鼻の奥がツンとする鋭い冷気が、肺の深くまで突き刺さる。一月の帯広は、空気そのものが凍りついた結晶のようで、吐き出す息は瞬時に白く濁り、夜の闇に溶けていった。駅からのわずか五分という距離が、この日の私たちには北極点への遠征のように感じられた。誰が言い出したのか、「誰が先に限界を迎えるか賭けようぜ」なんて冗談を飛ばしながら、私たちは肩をすくめて早歩きでスーパーホテルPremier帯広駅前へと逃げ込んだ。だがその前に、どうしても寄らなければならない聖域があった。地元で愛されるセイコーマートだ。店内に足を踏み入れた瞬間、外の静寂とは対照的な、コンビニ特有の明るい喧騒と、出汁の効いたおでんの温かい香りに包まれる。明日には食料が尽きるかのように、ホットスナックと濃厚な地元の牛乳、そして見たこともない不思議な味のお菓子をカゴに詰め込んだ。ビニール袋が指先に触れるカサカサという乾いた音が、静まり返った夜の街に不自然に響いていた。ホテルに戻り、ロビーのウェルカムバーで冷え切った指先を温めながら、私たちは互いの赤くなった鼻を指差して笑い合った。その瞬間、外の寒さは単なる「不便」ではなく、この場所の温もりを際立たせるための最高の演出だったのだと気づかされた。

揚げたての温度と、とりとめない言い合い

「ねえ、さっきの地図、絶対にあってたよね? 私たちが右に曲がったのが間違いだっただけでしょ」

十二平米のコンパクトツインルーム。そこに大人数でひしめき合う。足の踏み場もないけれど、肩が触れ合う距離感が、不思議と心地よかった。テーブルの上に広げられたコンビニ飯。湯気を立てるコロッケを頬張ると、外側はカリッと、中はホクホクとした熱い快楽が口いっぱいに広がる。私たちは、今日一日の「大失敗」について、まるで誇らしい勲章であるかのように語り合った。

「いやいや、あの看板には絶対に『こちら』って書いてあった。信じられないくらい不親切な看板だったんだよ」
「言い訳がすごい。まあ、迷ったおかげで見た雪景色は最高だったけどね。あの静まり返った森のような道は、一生忘れられないと思う」
「あーもういいよ。それよりこの牛乳、濃厚すぎてびっくりしない? 飲み心地が重いっていうか、北海道の大地をそのまま飲んでいるみたいだ」

誰かが笑い、誰かがそれに被せて不満を漏らす。狭い部屋の中で、私たちの声は壁に当たり、何度も跳ね返っていた。それはまるで、深いリバーブがかかったスタジオにいるみたいだ。一人ひとりの言葉が独立しているのではなく、混ざり合い、一つの大きな音の塊となって部屋を満たしていく。途中で、誰がどの枕を使うかで揉めた。八種類もある「選べる枕」を前にして、みんなが真剣に悩みすぎたけれど、結局お腹が空きすぎていた私は、適当に一番柔らかそうなやつを掴んでベッドに投げ出した。その適当さが、今の私たちの、飾らない関係性にぴったりだった。

静寂が降り積もる、心地よい余韻

食べ終えた容器が片付けられ、部屋には心地よい疲労感と、満腹感だけが残った。激しかった会話の波がゆっくりと引き、代わりに訪れたのは、静かだけれど密度の濃い沈黙だ。先ほどまで響いていた笑い声の余韻が、まだ空気の中に金色の粒子のように漂っている気がする。オリジナルオーガニックアメニティの控えめな香りが、温まった肌にゆっくりと馴染んでいき、緊張していた心まで解きほぐしていく。もこもことしたパジャマに身を包み、選んだ枕に深く頭を沈めると、外の世界が完全に遮断された、繭の中にいるような感覚に陥った。帯広の夜は深い。窓の外では、きっと誰にも気づかれずに、しんしんと雪が降り積もっているのだろう。私たちはもう、言葉を交わす必要はなかった。ただ、同じ空間で同じ呼吸をしているという事実だけで十分だった。孤独というものは、一人でいることではなく、分かち合える誰かがいないことなのだと、この狭い部屋で改めて気づかされた。心地よい眠気が、ゆっくりと、けれど確実に私たちを飲み込んでいく。この静寂は、空っぽなのではなく、今日一日の記憶と、互いへの信頼で満たされている。明日になればまた、あの凍てつく空気の中へ飛び出していくけれど、今はただ、この温かい残響の中に浸っていたいと思った。

窓ガラスの端に、小さな氷の結晶が静かに張り付いていた。

  • セイコーマートのホットシェフで作られた、揚げたてのコロッケとポテト
  • 北海道ならではの濃厚な成分が詰まった、冷たい牛乳と地元のスイーツ