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暖房の唸りと、濡れたタオルの匂い

暖房の唸りと、濡れたタオルの匂い

鼻の奥を刺すような、鋭い冷気。JR帯広駅からホテルへ向かうわずか5分間、誰が一番先に「寒い」と口にするかという、くだらない賭けを始めた。結果、駅の自動ドアが開いて30秒後、全員が同時に絶叫した。それはもはや賭けではなく、極寒の中での生存確認だったのかもしれない。頬を打つ風が氷の粒のように冷たく、吐き出す息が真っ白に舞う。



炭火の香ばしい匂いと、甘辛いタレがジューっと焦げる快い音。名物のホエー豚丼を頬張ると、肉の脂が口の中でとろりとほどけ、濃厚な甘みが舌の上にどっしりと居座る。炊きたての白米から立ち上る真っ白な湯気が眼鏡を曇らせる。熱い米が喉を通るたび、凍りついていた心までゆっくりと解凍されていく感覚があった。


「最高の冒険にしようぜ」と、旅の始まりに豪語していたリーダー格の奴が、部屋に入った瞬間、吸い込まれるようにベッドへダイブして沈黙した。バネが軋む音だけが虚しく響く。結局、私たちは「一歩も外に出ないこと」を今回の旅における最大の冒険と定義し直した。まあ、この寒さならそれが正解だったと思う。


夜9時半。廊下にふわりと漂い始める、醤油ベースの出汁の懐かしい香り。夜鳴きそばを待つ短い行列の中で、「誰が一番美しく麺をすするか」という、大人の矜持を捨てた競争が始まった。結果的に、全員がスープを飛ばして、互いの顔を見て爆笑した。湯気に包まれた狭い空間に、くだらない笑い声が反響していた。


窓の外に広がる、深い藍色の時間。街のイルミネーションが、冷たい空気の中でぼんやりと滲み、まるで水彩画のように揺れている。誰が何を言ってもいいし、あるいは何も言わなくてもいい。そんな心地よい諦めのような静寂が、部屋の隅々まで満たしていた。時計の針が刻む音だけが、ゆっくりと時間を消費していく。


ドーミーイン帯広の「白樺の湯」。足裏に触れるタイルのひんやりした感触から、一気に熱い湯に身を沈める。皮膚の境界線が曖昧になり、自分がただの「温度」という塊になったような、不思議な浮遊感。白樺の香りがかすかに漂う中で、肩の力がふっと抜け、思考が真っ白な湯気に溶けて消えていった。


大晦日のカウントダウンまであと数分。部屋の中で、コンビニで買った安っぽいシャンパンを無理やり開けた。派手な破裂音はしなかったけれど、その不器用でささやかな祝祭感が、今の私たちにはちょうどいいサイズだった。グラスの中で小さく弾ける泡が、私たちの密やかな連帯感を祝福しているようだった。


重い布団に深く潜り込み、外で猛威を振るっているはずの吹雪の唸りを想像する。暖房の低い低周波だけが心地よく響く、繭のような空間。明日になればまた、誰かの期待に応えなければならない日常に戻る。けれど今はただ、この心地よい重みに身を任せ、深い眠りの底へ沈んでいたい。

濡れた髪から滴る水滴が、フローリングに小さな円を描いていた。

  • 帯広駅からの5分間、全力で寒さを競い合ってみて。
  • 夜鳴きそばを食べた後、そのまま温泉に飛び込むルートが正解。