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薄明かりの中、肩と肩の距離が近づくとき

薄明かりの中、肩と肩の距離が近づくとき

もし、今のあなたが予約ボタンを押すのをためらっているなら。11月の函館は、想像以上に冷たくて、だからこそ誰かの体温が心地いい季節です。正解を求める旅ではなく、ただ隣にいる誰かと、静かな時間を分かち合いたいと思うあなたへ。この手紙を届けます。


街のノイズが消えて、心地よい残響だけが残る場所

JR函館駅からホテルまで、歩いてたったの1分。でも、その短い距離で空気ががらりと変わるのがわかる。11月の函館の風は、肌を刺すように鋭くて、コートの襟をきつく合わせてもどこからか冷気が忍び込んでくる。けれど、プレミアホテル キャビンプレジデント函館の重いドアを開けた瞬間、温かいアロマの香りがふわりと包み込んでくれた。それはまるで、騒々しい街の音がゆっくりと遠のいていく、心地よい残響(リバーブ)の始まりみたいだった。

そのままエレベーターで13階へ上がり、バー「エステラード」の扉を開ける。目の前に広がっていたのは、宝石を散りばめたような夜景。カクテルグラスの縁に触れる指先の冷たさと、隣に座るあなたの体温。どちらが心地よいのか、答えを出さないまま、ただ窓の外を眺めていた。琥珀色のグラスの中で氷が小さく鳴る音だけが、二人の会話の合間に落ちる静寂を、優しく埋めてくれる。そういう時間が、本当は一番贅沢なのかもしれない。

ふいに、二人でシェアしていた小さなケーキをフォークで分け合おうとして、一口分がテーブルにぽろりと落ちた。一瞬の沈黙の後、同時にふふっと笑みがこぼれた。計画された完璧なデートよりも、こういう、ちょっとした不器用な瞬間の方が、ずっと記憶に深く刻まれる気がする。夜景のきらめきが、私たちの笑い声に溶け込んでいく。そういう、名前のつかない小さな幸福に気づける場所が、ここにはあった。


ほどいて、満たして。二人だけの周波数を合わせる夜

お部屋に戻って、裸足で踏んだカーペットの柔らかさに、ふっと肩の力が抜けた。ReFaのシャワーヘッドから出るきめ細やかな水滴が、冷え切った肌を丁寧にほどいていく感覚。お風呂上がりに、シモンズ製のベッドに深く沈み込んだとき、私たちはしばらく何も話さなかった。ただ、心地よい沈黙だけがそこにあった。完璧な旅なんてなくていい。予定通りにいかないことも、道に迷うことも、全部この柔らかいマットレスが受け止めてくれる気がする。

翌朝、まだ少し眠い目をこすりながら、再び1分の距離にある函館朝市へ。冷たい外気に触れた瞬間、身が引き締まるけれど、市場に漂う潮の香りと、店の方々の威勢のいい声に、心地よいリズムが戻ってくる。湯気が立ち上る海鮮丼を頬張り、温かいお茶を飲みながら、あなたの横顔を眺めていた。冷たい空気の中で、お互いの吐く息が白く混ざり合う。その光景を見ているだけで、なんだか十分だと思った。

私たちは、もしかしたらまだ、お互いの心地よい距離感を探している最中なのかもしれない。けれど、このホテルで過ごした時間は、バラバラだった二人の周波数を、そっと一つのリズムに合わせてくれたような気がする。何もしない贅沢。ただ隣にいることを確認し合う時間。そういう空白があるからこそ、旅は意味を持つのかもしれない。チェックアウトのとき、エレベーターのボタンを押す指先が、昨日よりも少しだけ自然に、あなたの手に触れた。


冬の気配が混じる函館の街で、あなたの体温を思い出す。
  • 13階のバーでは、あえて会話を止めて、夜景のきらめきを音として聴いてみて。
  • 朝市で食べた後の温かいお茶を飲みながら、次に行きたい場所をなんとなく話し合って。