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カーテンの隙間から漏れていた、青い夜の温度

カーテンの隙間から漏れていた、青い夜の温度

凍てつく夜の入り口、二つの温度

(Aの記憶)
函館駅に降り立った瞬間、肺の奥まで凍りつくような鋭い冷気が押し寄せてきた。コートの襟を顎まで引き上げ、震える指先で予約画面を何度も更新する。予定通りに進まないもどかしさと、冷たい風に煽られる焦燥感が心の中で渦巻いていた。けれど、プレミアホテル キャビンプレジデント函館 / PREMIER HOTEL CABIN PRESIDENT HAKODATEのロビーに足を踏み入れたとき、空気の密度がふわりと変わった。アロマディフューザーの穏やかな香りと柔らかな温もりに、強張っていた肩の力が、春の陽光に氷が溶けるように抜けていく。ここなら大丈夫だ。そんな静かな確信が、冷え切った心に灯った。

(Bの記憶)
キャリーケースの車輪がガタガタとアスファルトを叩く音が、夜の街にリズムを刻む。隣ではAが「遅い!」と小声で怒っているけれど、寒さで真っ赤な頬が可笑しくて、私はわざと歩幅を狭めてゆっくり歩いた。駅からの距離が驚くほど近いから、この凍える時間もほんのひとときで済む。正解だったな、と心の中で密かに呟く。ロビーに入った瞬間、誰かが漏らした安堵の溜息と、ウェルカムドリンクの微かな甘い香りが混ざり合っていた。完璧なスケジュールを信奉するAの表情が、この温もりに触れて少しだけ緩んだ気がして、私は心の中で小さくガッツポーズを決めた。

黄金色の朝食、交差する記憶

(Aの記憶)
朝食ビュッフェで選んだエッグベネディクト。ナイフを入れた瞬間、黄金色の卵黄がゆっくりと溢れ出し、白いソースと美しく混ざり合う。その視覚的な変化は、まるで異なる二つの世界が静かに溶け合う乳化の過程を見ているようだった。口に運べば、濃厚なコクとわずかな酸味が、半分眠っている意識を優しく呼び覚ましてくれる。白い陶器のカップから立ち上がる熱い湯気が、窓の外の冬景色を白くぼかし、世界に自分たちだけが取り残されたような、心地よい密室感に浸っていた。コーヒーの深い苦味が、冬の朝の静寂をより鮮明に際立たせていた。

(Bの記憶)
壁一枚隔てた函館朝市の喧騒が、遠い波音のように微かに聞こえてくる。私たちは、誰が一番豪華なプレートを作れるかで、子供のように賭けをしていた。結局、欲張りすぎて食べきれなかったけれど、そんなくだらない会話で笑い合う時間こそが、この旅で一番の贅沢だったと思う。誰かがソースを服に飛ばして、みんなで大笑いした。洗練された空間の中で、私たちの振る舞いはひどく不格好で場違いだったかもしれない。けれど、その不調和さこそが、この旅を「私たちの旅」という唯一無二の物語にしてくれていた。賑やかな笑い声が、冷たい朝を心地よく彩っていた。

唯一、心から同意した安らぎ

一日中、凍える街を歩き回った後、冬の夜の静寂に包まれてシモンズ製ベッドに体を沈めたとき、私たちは同時に深い溜息をついた。ロフテーの快眠枕が首の隙間を埋める感覚は、欠けていたピースがぴったりとはまるような充足感だった。リファのドライヤーを巡る些細な言い争いさえも、この柔らかいマットレスの上では心地よいリズムに変わっていく。孤独は解消するものではなく、ただ心地よい温度で包み込まれればいい。そう思えるほどの安らぎが、そこにはあった。

13階のバーから見下ろした街の灯りが、冷たい夜空に静かに溶けていた。

  • 13階のルーフトップバーで、あえて言葉を交わさず、街の光が揺れるのを眺める時間を。
  • 朝食後は徒歩1分の朝市へ。冷たい空気の中で味わう海鮮の温度を肌で感じて。