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冷たい風が、温かい絨毯に溶けるまで

冷たい風が、温かい絨毯に溶けるまで

凍てつく風と、静寂の抱擁

(友人A)
大通公園を吹き抜ける風は、まだ遠慮なく頬を叩いてくる。四月の札幌は、暦の上では春だというのに、体感温度は冬の忘れ物のような鋭い冷たさを孕んでいた。コートの襟を立て、かじかんだ指先で何度も地図アプリを操作する。画面に触れるたびに指先の感覚が遠のき、もどかしさに溜息をついた。そんな心地悪さの中にいたからこそ、ホテルリソルトリニティ札幌の自動ドアが開いた瞬間の、あの空気の密度に救われた気がする。外の刺すような冷気がふっと消え、代わりに柔らかく濃密な温もりが肌を包み込んだ。あぁ、ようやく辿り着いた。その安堵感だけで、肩の力がふっと抜けていった。

(友人B)
ドアが開いた瞬間、鼻腔をくすぐったのは、雨上がりの深い森を歩いているような、静かで心地よいアロマの香りだった。それから、ゆっくりと靴を脱ぐ。その動作ひとつで、外の世界に置いてきた緊張感や喧騒が、一緒に脱ぎ捨てられたような気がした。裸足で踏み出した絨毯の感触が、驚くほど柔らかく、足裏からじわりと温かさが伝わってくる。まるで、大きな生き物の背中の上に乗ったかのような、不思議な安心感に包まれた。友人たちがチェックインの手続きで賑やかに騒いでいる間、私はただ、空間に溶け込んでいる静寂の質感に浸っていた。ここは街の真ん中にありながら、別の緩やかな時間軸に繋がっているのかもしれない。

皿の上の健康と、光の記憶

(友人A)
「イートウェル・ブレックファスト」という名前通り、料理のひとつひとつに健康指標のアイコンが付いているのが新鮮だった。管理栄養士が監修しているらしく、自分の体調に合わせて選べる仕組みに、旅先ながらも心地よい緊張感を持つ。北海道産の野菜は、噛むたびに大地の力強い土と水の味がして、細胞のひとつひとつにゆっくりと染み込んでいくのがわかる。彩り豊かなプレートを眺めながら、意識的に健康的な選択をしようと試みる。けれど、結局は地元の濃厚なバターをたっぷり塗った、焼きたてのパンに手が伸びてしまった。理屈ではなく本能に素直になれるのが、旅の醍醐味なのだろう。「このアイコン、なんだか健康診断の結果を待っている気分になるね」なんて、冗談を言い合った。

(友人B)
私の記憶に深く刻まれているのは、味よりも、その場の光景だ。大きな窓から差し込む、少し白みを帯びた札幌の朝光。まだ半分眠っている友人たちの、ぼんやりとした心地よさそうな表情。白い陶器のカップから立ち上る湯気が、ゆっくりと空気に溶けていく様子を、私はただ静かに眺めていた。誰が何を食べていたかは正確に思い出せないけれど、テーブルの上で交わされた、とりとめのない会話の温度だけは鮮明に覚えている。心地よい疲れが残った体に、温かい飲み物がゆっくりと流れ込んでいく。急ぐ必要なんてどこにもない。ただ、この緩やかな時間が永遠に続けばいいのに、という贅沢な錯覚に深く落ちていた。

唯一、心から重なり合った時間

結局、この旅で全員が口を揃えて「最高だった」と同意したのは、パークビュースパで過ごした時間だったと思う。四月の冷たい風にさらされ、強張っていた体にとって、あのお湯の温度は完璧な正解だった。湯船に深く体を沈めると、肩の力がふっと抜け、思考が心地よい空白に変わっていく。窓の外に広がる札幌の街並みを眺めながら、私たちはほとんど言葉を交わさなかった。言葉にする必要がないほど、濃密な静寂がそこにあったから。お湯の重みが、日々の生活で積み重なった目に見えない疲れを、ゆっくりと洗い流してくれる。パークサイドダブルの部屋に戻る頃には、心まで柔らかく解きほぐされていた。

チェックアウトのとき、誰かが「もう一度ここに来よう」と小さく呟いた。

  • 大通公園の散歩で冷えた体は、迷わずパークビュースパの温もりで癒やしてほしい。
  • 朝食のイートウェル・アイコンをゲーム感覚に楽しみながら、北海道の旬を堪能して。