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コップの水に月が揺れていた夜

コップの水に月が揺れていた夜

札幌の街とホテルリソルトリニティ札幌で試した4つの企み

大通公園で「完璧な月」を探す作戦
結果は、コンビニのホットドッグを片手にベンチで転がっただけという、なんとも情けない結末。けれど、鼻腔をくすぐるジャンクな香りと、肌を刺すような冷たい夜風に身を縮めながら見上げた月は、予想以上に幻想的で、隣にいる相手の体温が心地よく感じられる時間だった。

「Eatwell」朝食で心身を浄化する挑戦
結果は、完膚なきまでの大失敗。管理栄養士さん監修のヘルシーなアイコンを完全に無視し、皿の上にカオスな食の地図を作り上げた。「明日から本気出す」という心の声に従い、色鮮やかなビュッフェ料理を盛り付けすぎたせいで、昼まで心地よい睡魔に襲われるという贅沢な罰を受けた。

深夜2時のパークビュースパ潜入
結果は、大成功。静寂に包まれた大浴場で、熱い湯に身を委ねると、日中の緊張がほどけていくのがわかった。湯船から眺める札幌の夜景は、まるで精密な回路基板のように規則正しく光り輝いていて、私たちはしばらくの間、言葉を失い、ただお互いの呼吸の音だけを聞いていた。

JR札幌駅からホテルまでの「秋風耐性」テスト
結果は、完敗。9月の風を甘く見ていた私たちは、駅を出た瞬間に鋭い冷気に打ちのめされ、逃げるようにロビーへ飛び込んだ。そこで出迎えてくれたウェルカムアロマの香りが、凍えた心と体を優しく包み込む物理的な抱擁のように感じられ、「あぁ、ここが天国だ」と同時に呟いた。

旅の記憶を採点するスコアボード

今回の旅で最大の正解は、深夜のスパで思考を停止させたこと。健康的な朝食への挑戦はただの冗談に終わったし、月探しで迷子になったのはいつものパターンだ。窓の外では、大通公園の木々が夜風に揺れ、都会の喧騒が遠い波音のように心地よく響いている。けれど、パークサイドダブルのひんやりしたシーツが体温でゆっくり温まっていく速度に身を任せていると、計画通りにいかない不完全さこそが旅の醍醐味だと気づかされた。「結局、何ひとつ計画通りにいかなかったね」と隣で小さく笑う声。それに合わせて、「それが正解だったのかも」と心の中で呟く。ホテルリソルトリニティ札幌という場所は、まるで都会の喧騒にぽっかりと空いた静かな空白地帯のようで、私たちはその心地よい繭の中に深く潜り込んでいった。そんな心地よい脱力感が、この場所には満ちていた。間接照明の柔らかな琥珀色の光が、部屋の隅々にまで静かに溶け込み、張り詰めていた心の糸がゆっくりとほどけていく。湯気の立つお茶を囲み、明日も適当に歩こうと笑い合った夜の温度。札幌の夜は冷たいけれど、この部屋の中だけは、春のようなぬくもりが停滞していた。

  • 深夜3時の大浴場で、誰が一番長く浸かっていられるか静かに競い合ってみて。
  • 地図を捨てて、大通公園のすすき草が一番美しく揺れる場所を直感で探して。