← 回到 層雲峽觀光酒店

濡れたタオルの匂いと、誰かの笑い声

濡れたタオルの匂いと、誰かの笑い声

朝の光と、賑やかなお皿のシンフォニー

指先に触れるナプキンの、少し硬くて清潔な質感。朝七時のレストランは、まだ眠い目をこすっている子供たちの高い声と、深く香ばしいコーヒーの匂いで満ちていた。「家族混浴できる大露天風呂の宿 層雲峡観光ホテル」での朝食は、ある種の賑やかな戦場に似ている。上の子は「絶対に青いカップがいい!」と譲らず、下の子はパンケーキにシロップをかけすぎて、白いテーブルの上に小さな琥珀色の湖を作っていた。そんな混沌とした光景を眺めながら、私はゆっくりと温かいスープを口に運ぶ。ライブキッチンから漂ってくるソーセージが弾ける快い音。そのリズムが、心地よく耳に馴染んでいく。大人が嗜むブラックコーヒーの心地よい苦味と、子供たちが欲しがる甘いジュースの鮮やかな対比。それぞれの好みが混ざり合い、一つの賑やかな食卓が出来上がる。完璧な静寂なんてなくていい。むしろ、この騒がしさこそが、私たちが今ここに「一緒にいる」ということの何よりの証明なのだと感じる。お皿がぶつかり合う不規則な音が、家族という名の心地よいBGMのように響き渡っていた。

凍てつく風と、手のひらに灯る小さな熱

鼻の頭がツンとするほどの、鋭い冷気。三月の上川町は、まだ冬のしっぽを強く掴んでいる。外に出た瞬間、肺の奥まで凍りつくような空気が入り込み、身体が自然と丸くなる。そんなとき、ふと見つけた地元の小さなお店で買った、白い湯気の立つ温かい飲み物。プラスチックのカップを通して伝わる熱が、かじかんだ指先をゆっくりと、けれど確実に解かしていく。下の子が「見て!川の中に龍がいるよ!」と叫んで指差した先には、石狩川の激しく白い流れと、天を突くようにそびえ立つ断崖絶壁があった。大自然の圧倒的なスケールに飲み込まれそうになるけれど、隣で私のコートの裾をぎゅっと掴んでいる小さな手の感触が、今の私にとって一番確かな現実だった。雪が混じった風が頬を打ち、肌を刺すけれど、それがかえって、今この手にある温もりの価値を教えてくれる。特別な観光名所を巡るよりも、ただ一緒に寒さに震え、「あついね」と言い合う。そんな、なんてことのない時間が、後から振り返ったときに一番鮮やかに記憶に刻まれるのかもしれない。

湯上がりの静寂と、家族だけの秘密の夜食

肌にまとった湯衣の、少しざらりとした心地よい摩擦。峡谷大露天風呂「宇旅璃」から戻ってきた後の身体は、心地よく重く、芯まで温まっている。家族みんなで同じ湯船に浸かり、白い湯気の中でとりとめもない話をしていた時間は、心の中の強張りがゆっくりとほどけていく感覚だった。本館「彩花」の部屋に戻り、子供たちが畳の上で大の字になって深い眠りに落ちた後、私たちは小さな声で内緒話を始める。夜食に広げた地元の菓子と、少しぬるくなったお茶。部屋の隅で静かに回る空調の低い音と、遠くから聞こえてくる石狩川のせせらぎが、心地よい層になって重なっている。昼間の騒がしさが嘘のように、部屋の中には濃密で優しい静寂が満ちていた。上の子が寝言で何かを呟き、下の子が寝返りを打って私の足に触れる。その不規則なリズムに身を任せながら、私はふと思う。旅の正体は、目的地に辿り着くことではなく、こうして誰かと一緒に、心地よい疲れに身を委ねることにあるのではないか。明日になればまた、賑やかな戦場が始まるけれど、今はただ、このぬるい温度感に深く浸っていたいと思った。

夜の静寂に溶け込む川の音が、心地よい子守唄のように聞こえていた。

  • ライブキッチンの手作りソーセージは、子供たちが驚くほどジューシーなので、ぜひ多めに盛り付けてください。
  • 宇旅璃の露天風呂では、あえて何も考えず、ただ空の色の移り変わりを眺める時間を大切にしてみてください。