5つの思いがけない瞬間
その道の先、蛍の光が揺れていた
私たちが「蛍狩り」と称して出かけたのは、伊香保温泉から少し外れた小川沿い。地図で見ると距離は近いのに、実際に歩いてみると道が細くて、足元はぬかるんでいる。 arrivéeした頃にはすでに日が落ちかけ、最初の一匹が光ったと思ったら、次の瞬間には周りが小さな光の点滅で埋め尽くされた。友達の一人が「写真撮ろう!」と声を上げたけど、携帯のライトを点けてしまったせいで、光は一瞬で消えた。結局、写真は真っ暗な画像しか残らなかった。でもその暗闇の中、友達の笑い声を聞いていると、なんだか「これでよかった」という気がした。
紫陽花のトンネルで出会った時間
帰り道、偶然見つけた紫陽花のトンネル。地元の人でもなければ絶対に知らないだろう、小さな路地の奥にあった。花びらは重たげに垂れ下がり、水を含んでいて触ると冷たかった。そこにいたおばあちゃんが「この花、今日は特に色が濃いのよ」と教えてくれた。おばあちゃんは手にしていた傘を差して、まるで私たちを出迎えるように立っていた。私たちはそのまま3人で傘を差しながら、しばらくその場に立っていた。時間が止まったわけじゃない。ただ、私たちの時間が、おばあちゃんの時間と混ざっただけだ。
露天風呂から見た星の海
ホテル木暮の露天風呂は、部屋から直接出られるタイプ。浴槽に浸かって外を見上げると、山の稜線がシルエットになっていて、その向こうに星が無数に散っていた。都会では見たことのない星の数だった。友達が「この光、全部見えるんだな」とつぶやいた。湯気が立ち上る中、私たちは誰も何も言わなかった。言葉が必要なかった。星の光が、私たちの体温と一緒に湯に溶けていったみたいだった。
朝食で出会った地元の味
ダイニング「soramori 空森」の朝食バイキング。地元の名産品が並んでいた。群馬の名物「おっきりこみ」を初めて食べた時の感動は忘れられない。小麦粉の風味と、野菜の甘みが口の中でじわじわと広がる。友達が「これってラーメン?それともパスタ?」と首を傾げていたけど、私たちはとにかくおかわりした。食べ終わった後、テーブルの上には空のお椀と、微かな醤油の匂いだけが残っていた。
バスの運転手さんが教えてくれた秘密の場所
最終日、送迎バスでホテルに戻る途中。運転手さんが「この辺りで一番美味しいお団子屋さん知ってます?」と教えてくれた。地図にも載っていない小さな店。私たちはそこで、小豆あんのお団子を食べた。店主は「いつもはお客さん来ないんだけどね」と笑っていた。甘さ控えめのあんこと、もちもちとした皮の食感が、体にしみわたるような感じだった。
これらの瞬間が積み重なって
私たちの足は知らない土地を踏みしめ、皮膚は空気の湿り気を吸い込み、味覚は新しいものを覚えていった。計画なんてなかったはずなのに、思い出は自然と積み上がっていた。一番の宝物は、地図に載っていない場所で出会った人たちとの会話。そして、そういう場所にたどり着くために、迷ったり、失敗したり、笑ったりしたこと。
暗闇で光る指先の感覚が、この旅のすべてだった。
- ホテル木暮 (Hotel Kogure) から徒歩10分の「紫陽花のトンネル」は、地元の人でも知らない人が多い。早朝の涼しいうちに散策すると、花びらの上を光が滑るように見える。
- 送迎バスの運転手さんが教えてくれる「おっきりこみ」のお店は、群馬県の伝統料理。温泉街の裏通りにひっそりとあるので、見つけたらラッキー。