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肉まんの湯気と、指先に冷たいカードキー

肉まんの湯気と、指先に冷たいカードキー

5年後の私たちへ。あの時、誰が一番に迷子になったか覚えてる?計画を全部無視して、ただ笑い転げたあの11月の神戸を、今のあなたも忘れてないでほしいな。きっと、あの不完全さが一番心地よかったはずだから。


5年後もきっと鮮明に思い出しているはずの断片

南京町の喧騒と、ホテルの静寂の境界線
揚げ物の油とスパイスが混じった濃い空気に包まれて、誰が一番多く食べるか賭けてたよね。結局、お腹いっぱいで歩けなくなった私たちが、神戸プラザホテルウエストのドアを開けた瞬間に訪れた、あの真空のような静けさ。外の騒がしさが嘘みたいに消えて、冷房でちょうど良く冷やされたロビーの空気が肌に触れたとき、ようやく「あ、戻ってきた」って感じた気がする。

深夜2時のAndroid TVと、セミダブルの絶妙な狭さ
本当は寝るはずだったのに、ベッドの上でAndroid TVをいじって、くだらない動画をずっと見てた時間。セミダブルのベッドに二人で無理やり収まって、肩がぶつかるたびに「狭い!」って吐槽し合ったけど、不思議とそれが心地よかった。シーツのパリッとした質感と、画面から漏れる青白い光。あの狭さが、かえって私たちの距離を縮めていたのかもしれない。

ポートタワーへ向かう道中の、冷たい風の感触
ホテルから歩いて10分。11月の神戸の風は、想像していたよりもずっと鋭くて、鼻先がツンとした。でも、街路樹の紅葉がオレンジ色に燃えていて、それを背景に誰かが撮った変な顔の自撮り写真。足元のタイルの感触や、遠くで聞こえる車の走行音。目的地に着くことよりも、ただ隣で誰かが笑っているという事実の方が、ずっと重要だった気がする。

ラウンジで交わした、答えの出ない言い争い
宿泊者専用ラウンジの、あの落ち着いた色調のソファに深く沈み込んで、次の日の予定を立て直そうとして結局喧嘩しそうになったこと。誰のせいでもないのに、なんとなく誰かを犯人にしようとする、あのくだらない空気感。でも、ふと視線を上げたときに見えた、モダンなのにどこか懐かしいインテリアのディテールが、私たちの緊張を静かに解いてくれた。結局、何も決めないまま眠りに落ちたよね。


5年後にこの記憶を開いたとき

たぶん、訪れた場所の正確な名前や、食べた料理の味は、少しずつ記憶の端からこぼれ落ちていくと思う。でも、神戸プラザホテルウエストの部屋で感じた、あの独特の「守られている感」だけは残っている気がする。最先端の設備に囲まれているのに、どこかノスタルジックな空気が漂っているあの空間。それは、私たちが大人になりきれないまま、それでも大人のふりをして旅をしていたあの瞬間の、心の温度に近いからかもしれない。ふとした瞬間に、あの部屋のUSBポートに充電器を差し込んだときの小さなクリック音が聞こえてきて、それがトリガーになって、全部の記憶が鮮やかに戻ってくる。そんな気がしているんだ。


冷たい夜風に吹かれながら、街のイルミネーションが水溜まりに反射して揺れていた。
  • 南京町で迷子になることを前提に、あえて地図を見ずに歩いてみるのがおすすめ。
  • ホテルの高速Wi-Fiをフル活用して、その日のうちに大量の変顔写真を共有し合ってほしい。