思いもよらない5つの瞬間
紫陽花の下で靴が泥だらけになった
草津駅からうり房旅館への道中、紫陽花が並ぶ細い路地を抜けようとしたら、忽然のスコール。Friend Aが「写真撮るから待って!」と叫んで足を止めた瞬間、靴が泥の海に沈んだ。防水スプレーをかけてたのに、靴下までびしょびしょ。Friend Bは大笑いしながら「これ、草津名物の泥パックじゃん」と言って、泥を拭くタオルまで出してきた。結局、うり房旅館の玄関で靴を脱ぎ、裸足で部屋まで上がった。その時、廊下の木の床が足の裏に冷たく感じたことだけが、今でも鮮明に残っている。
貸切風呂の扉を閉め忘れてしまった
鍵付き貸切風呂を借りたのは、草津の湯につかりながら「明日の天気を占おう」と決めたから。Friend Aが「いい湯加減だね」と言いながら、扉を閉めるのを忘れた。10分後、湯気が廊下に溢れ出して、向かいの部屋のおじさんが「 nuovamente 」とイタリア語で文句を言っていた。Friend Bは「これ、国際問題になってるかも」と真面目に心配していた。結局、扉を閉め直して、もう一度入浴。その時、湯船の底に沈んだ小さな鉱石が、光を反射するのが見えた。
紫陽花の写真を撮りすぎてSDカードがパンクした
草津川沿いの紫陽花通りで、Friend Aが「世界で一番紫陽花らしい紫陽花を探そう」と無茶なミッションを出してきた。Friend Bは「それ、不可能なやつじゃん」と突っ込みながらも、結局300枚近く撮ってしまった。SDカードが一杯になったとき、Friend Aが「もう一枚だけ!」と最後の一枚を撮った瞬間、画面が真っ白になった。その写真は、紫陽花の花びらが画面いっぱいに広がる、奇跡的な1枚だった。
ホタルの光が道しるべになった
6月の下旬、草津川のホタルを見に行った。暗闇の中、Friend Bが「どこにいるの?」と何度も聞くたび、Friend Aが「ほら、あの光!」と指をさす。その光は、道を照らす道しるべのように見えた。ホタルの光に照らされた草津の川面は、まるで銀河が降りてきたようだった。Friend Bは「これ、写真に撮れないよね」と感嘆していた。結局、誰も写真を撮らず、ただ光を見つめ続けた。
布団を敷くのに時間がかかりすぎて朝食が冷めた
うり房旅館のセルフ布団敷きは、慣れないと時間がかかる。Friend Aが「10分でできない?」と挑戦していたが、結局20分かかった。その間にFriend Bが朝食を取りに行き、戻ってきた頃には味噌汁が冷めていた。Friend Aは「時間よりも質だろ」とフォローしていたが、結局味噌汁は温め直した。それでも、その味噌汁のぬるさが、今でもこの旅の「ぬるま湯」の味のように感じられる。
こうして5つの瞬間は、自分たちだけの地図になった
5人の友達と過ごした草津の6月は、偶然の連続だった。紫陽花の下で靴が泥だらけになったこと、貸切風呂の扉を閉め忘れたこと、SDカードがパンクしたこと、ホタルの光が道しるべになったこと、布団を敷くのに時間がかかったこと。それらはそれぞれ、些細な出来事でしかなかった。でも、それらが集まってできた地図は、誰にも辿れない唯一の地図になった。
紫陽花の紫と、ホタルの光と、草津の鉱泉のにおいが、その地図の上で混ざり合った。梅雨の湿った空気は、紫陽花の色を一段と深く見せ、ホタルの光をより鮮やかにした。うり房旅館の静寂は、友達との無駄話の声の大きさを引き立てた。
「これ、もしかしたら草津にしかない体験かもしれない」Friend Bが呟いた時、誰も否定しなかった。
草津の6月は、偶然の光を集める季節だった。
- 紫陽花の花びらの上に落ちた雨粒を、友達と一緒に見つめる
- うり房旅館の鍵付き貸切風呂で、友達と一緒に「明日の天気占い」をする
- 草津川のホタルの光を、友達と一緒に追いかける