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浴衣の裾が濡れる音が聞こえた

浴衣の裾が濡れる音が聞こえた

To us five years from now.

--- きっと、あの足音をまだ覚えている ---

草津の7月に残る4つのこと

浴衣の裾が水溜りを踏む音
草津の7月は、雨が降るたびに路面が湿る。浴衣の裾がその水を踏むと、小さな音が立つ。その音が、祭りのざわめきと混ざり合った瞬間を、今でも思い出せる。きっと、あの音がなかったら、この旅の「始まり」は半分くらい失われていたと思う。

回廊の行灯の光が揺れる瞬間
ナイトシャトルバスから降りて、お宿 木の葉に戻る帰り道。回廊の行灯が揺れるたびに、影が壁を這うように動く。その光の動きが、まるで誰かが「お帰り」と言っているように感じられた。あの夜、誰も声を出さなかったのに、温泉の音と一緒に、その光だけがずっと残っていた。

打ち上げ花火の音が風に流される感覚
草津の盆踊りのフィナーレで、打ち上げ花火が上がった。花火の音は、風に乗って聞こえるか聞こえないかの微妙なタイミングで耳に届いた。それが、この旅の「偶然の贈り物」みたいな感じがした。風が音を選んで運んでくれたんだと思う。

湯船で聞こえる「誰かの足音」
大浴場の湯船に浸かっていると、時々足音が聞こえる気がした。実際には誰も歩いていないのに、湯の波紋が壁に当たる音が、足音に聞こえる。あの瞬間、このお風呂が「一人だけの空間」ではなく、「誰かと一緒にいる感覚」をくれた。

5年後の手紙を開くとき

きっと、この4つのうち「湯船で聞こえる足音」だけが、5年後の私たちに「ああ、あの時の旅だ」と確実に思い出させる。他の3つは、もしかしたら「そうそう、そういえば草津に行ったな」という程度の引き金にしかならないかもしれない。でも、なぜか「足音」だけが、5年後のどこかで忽然蘇る。

お宿 木の葉の木の床は、歩くたびに柔らかな感触が足元から伝わった。源泉の蒸気は、木の葉の間を流れる朝霧のように、湯船の上をゆっくりと舞っていた。『この静けさが、私たちの記憶の温度を守っている』と、誰かが呟いたような気がした。5年後も、あの蒸気の質感と木の香りが、私たちを草津の夜へと連れ戻すだろう。

もしかしたら、その足音は、お風呂の音響効果が生み出す錯覚かもしれない。でも、私たちにとっては、あの音が「誰かが隣にいる証拠」だった。あの時、誰もが一人でいたのに、なぜか「一緒にいる」感覚をくれた。


湯船の底で足が触れ合った気がした瞬間から、この旅は終わっていたのかもしれない。
  • 打ち上げ花火が終わった直後の、静かな草津の夜。誰もが「次は何?」と呟く頃、ナイトシャトルバスの時刻を確認しておくといい。
  • 浴衣の裾を引きずらないように、裾の長さを調整しておくと、歩くたびに違う音が聞こえてくる。