← 回到 湯宿 季之庭

ナイトシャトルの窓に映る、誰もいない景色

ナイトシャトルの窓に映る、誰もいない景色

草津の駅前で靴を脱いだ瞬間、足の裏が生温かいアスファルトの熱を吸い込んだ。

「うわ、これってもしかして、湯けむりのせい?」

友達がそう言って、自分の足の裏を見下ろす。

私たちは草津に来た。10月の草津は、空気そのものが紅葉の匂いを纏っていた。駅前の空気は、どこか湯治場特有の湯けむりが混じっていた。

到着直後の奇妙な高揚感

ホテルまではナイトシャトルバスで向かった。

バスのエンジン音が、静かな夜の街に吸い込まれていく。

「ねえ、このバスっていつもの時間に来るの?」

「分からない。時刻表なんて見なかったもん」

友達がそう言って、携帯の画面をちらりと見る。

「でも、多分大丈夫。だって、草津は小さな街だから」

バスの中は、他に乗客がいなかった。

「誰もいないね」

「当たり前でしょ。ナイトシャトルって書いてあるもん」

そう言って、友達は窓の外を見た。

ナイトシャトルの窓には、街灯の光が反射していた。

「この景色、誰も見ていないんだよね」

その言葉が、妙に心に残った。

私たちは、誰も見ていない景色を、ただ通過していた。


客室の露天風呂で感じた、手の届きそうな夜

湯宿 季の庭に着いて、部屋に入った瞬間、畳の匂いと木の温もりが全身を包み込んだ。

「うわ、この部屋、広い!」

友達がそう言って、和ベッドの上にどさりと腰を下ろした。

「でも、ベッドって和風じゃないよね?」

「洋風だけど、和の部屋って感じがする」

そう言って、友達は客室露天風呂の方に向かった。

露天風呂の湯は、ぬるめの温度だった。

「これって、どういう温度?」

「湯治場の湯だから、体に優しい温度らしいよ」

友達がそう言って、湯に浸かった。

「星が見える」

友達がそう言うと、私も湯に浸かった。

確かに、星が見えた。

「こんなに星が近いの、初めて見た」

「草津は空気が澄んでるからね」

そう言って、友達は目を閉じた。

星の光が、湯の表面で揺れていた。


紅葉と祭りの匂いが混ざる、土曜日の午後

翌朝、目を覚ますと、部屋の外はうっすらと明るくなっていた。

「朝ご飯、何時に出る?」

「分からない。でも、和会席料理らしいよ」

友達がそう言って、部屋のテレビを点けた。

ニュースでは、草津の秋祭りについて放送していた。

「今日の昼間、祭りがあるらしいよ」

「行こうか?」

「行こう!」

私たちは草津の街を歩いた。

紅葉の葉が、風に揺れていた。

「この葉っぱ、こんなに赤いの初めて見た」

友達がそう言って、葉っぱを拾い上げた。

「でも、祭りの音が聞こえる」

「祭りって、どこでやってるの?」

「確か、湯畑の近くらしい」

私たちは湯畑の方に向かった。

途中、夜鳴きそばの屋台を見つけた。

「これ、食べようよ」

友達がそう言って、屋台に向かった。

夜鳴きそばの音は、夜の街のBGMのようだった。


夜の街を歩きながら、友達がふと口にした。

「なんか、この旅、変なところで落ち着く感じがする」

「どういう意味?」

「ううん、何でもない」

そう言って、友達は笑った。

誰もいないナイトシャトルの窓

誰も見ていない景色

だけど、そこに私たちがいた。

  • 秋の紅葉と祭りの匂いを纏った草津の土産、草津名物の「湯の花」石鹸
  • ナイトシャトルバスの窓から見える、誰もいない景色が印象的な草津の夜を再現できる、湯宿 季の庭の客室露天風呂付き和洋室B