← 回到 草津NOW RESORT HOTEL

子供の手のひらに残る温泉のぬくもり

最初の朝食は、子供の「初めて」で始まった

玄関を出ると、冷たい空気が頬を刺した。草津の1月は思ったよりも乾燥していて、息を吐くと白い雲が一瞬だけ浮かぶ。ホテルのロビーに足を踏み入れた途端、檜の香りが鼻腔をくすぐった。 receptionistの女性がにっこり笑って「おはようございます」と声をかけてくれる。老二は目を丸くして「おねえさん、おはよう!」と手を振った。

食堂の窓は大きく、向こうにベルツの森が朝の光に包まれ、まるで巨大な白銀の彫刻のように静かに佇んでいた。子供たちはテーブルについて早速お味噌汁を飲み始めたが、老大は最初の一口で顔をしかめた。「これ、お味噌ってこういう味?」母親が「初めてでしょ?」と優しく促すと、老二が「お味噌って大豆から作るんだよ!」と得意げに教えてくれた。

父親はコーヒーを一口飲んで、テーブルの木目に指を這わせた。この木目は、きっとこの草津ナウリゾートホテルのどこかにも続いているのだろうと思った。テーブルの表面は滑らかで、長年の使用に耐えた木の年輪が指先に心地よく伝わってきた。外の寒さとは裏腹に、食堂内は程よい暖房が効いており、足元の畳の温もりがじんわりと伝わってくる。

「お父さん、このお味噌汁、温泉みたいにあったかいね」老大が不思議そうに言った。父親は微笑みながら「草津の温泉みたいに、この料理も地元の人たちの知恵が詰まってるんだよ」と答えた。老二は「じゃあ、お味噌汁も温泉みたいに毎日飲みたい!」と無邪気に叫び、母親は「そんなに毎日だったら、お母さんの手が追いつかないわよ」と笑った。

窓の外では、草津高原の朝霧がゆっくりと晴れていき、ベルツの森の木々が陽光を浴びてキラキラと輝いていた。食堂に差し込む光は柔らかく、檜の香りと相まって、まるで森の中にいるかのような落ち着いた雰囲気を醸し出していた。老大は「このホテル、森の中にあるみたいで不思議な感じ」とつぶやいた。父親はその言葉に頷きながら、コーヒーの湯気と共に漂うほんのりとした甘い香りを感じていた。


昼下がりのおやつは、街角で見つけた甘さだった

初詣の帰り道、老大が「お腹すいた」と言い出した。商店街の一角に「甘納豆」の看板が見えた。店内に入ると、棚いっぱいに色とりどりの甘納豆が並んでいた。老二は「これ、食べたい!」と手を伸ばしたが、母親は「一つだけね」と注意した。老大は栗まんじゅうを選び、老二は小さな草もちを選んだ。袋を開けると、甘い香りが鼻をついた。

街を歩いていると、子供たちは雪がちらほら降り始めた空を見上げて「雪だ!」と歓声を上げた。靴の底で雪を踏む音が、カサカサと乾いた音を立てた。父親は子供たちの頭を軽く撫でて「寒くない?」と尋ねたが、二人は首を振って走り回った。


大浴場の湯気が、家族の声を包み込む

部屋に戻ると、既に露天風呂のお湯が沸いていた。子供たちは裸足で床を歩き、浴室に向かった。老二が「お湯の中に魚がいる!」と叫んだ。母親が「え?」と身を乗り出すと、老二は自分の足の指を指した。「ほら、足の指がお湯の中で動いてる!」と、大笑いした。老大は「お父さん、お湯ってどうしてあついの?」と真剣な顔で尋ねた。父親は「地球のお腹の奥から来てるんだよ」と答えると、老大は「地球お腹痛いの?」と不思議そうな顔をした。

浴室の窓は曇っていたが、外の雪景色がうっすらと見えた。湯気が立ち上る中、子供たちは泡を作って遊び、母親は「このお湯、透明なのに色がないね」とつぶやいた。父親はその言葉に頷きながら、自分の手のひらを見つめた。温泉のぬくもりが、確かにそこに残っていた。


就寝前の部屋は、静かで温かい

子供たちは既に布団の中で眠りについていた。老大の寝息が、規則正しく部屋に響いている。母親は「明日はどこに行こうか」と話しかけたが、父親は「そうだな」と返すだけだった。部屋の隅に置かれた木の置物が、暗闇の中でほんのり光っていた。

窓の外では、草津の夜が静かに更けていく。温泉の湯気と共に、家族の時間がゆっくりと流れていった。

子供の手のひらに、温泉のぬくもりが染み込んでいた。

  • 草津町の初詣スポット、白根神社でお賽銭を投げ入れる音を聞いてみよう
  • ホテルの露天風呂で、子供と一緒に足湯を楽しむ