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足跡の先に、バラの香りがした

五月の白浜で、家族が共感した五つのもの

薔薇園の朝の香り
朝の庭を抜ける風が、薔薇園の棚を揺らす。その甘い香りは、子供たちが朝食のパンをかじり終えた頃、エレベーターを降りた足元から漂ってきた。老二が忽然「いい匂い!」と叫んだ時、老大は窓の外を指差していた。新緑に混じったバラの香りは、ゴールデンウィークの混雑を忘れさせる、まるで隠された宝物のような甘さだった。日差しが薔薇の花びらに降り注ぎ、その表面に露の粒が光っていた。

三段壁の天然温泉
お湯に指先を浸した途端、子供たちは歓声を上げた。三段壁近くの海底から湧き出る天然温泉は、体の芯までじんわりと温める、不思議な温度をしていた。老大は「これ、飲める?」と尋ね、老二は「お風呂がプールみたい!」と叫んだ。温度が丁度よかったのは、子供の身長分だけお湯の表面が揺れていたからだ。湯気の中に、海の潮騒が聞こえるような気がした。

ホテルの静寂を吸うカーペット
ホテルのカーペットは、子供の足音を完全に吸い込み、まるで時間までも包み込むようだった。深夜、誰かが走り回った跡は、翌朝になっても消えずに残っていた。老二が「誰かが廊下を走ってる!」と大声を出し、全員が急いでドアを開けた時、そこには誰もいなかった。足音の正体は、彼ら自身の足の裏だった。カーペットの織り目には、昨夜の冒険の余韻が残っていた。

子供部屋のぬくもりクッション
子供部屋のソファには、小さなクッションが三つ並んでいた。一つは星形、一つはクラゲ、残りはまったく形がわからないくらい柔らかくなったもの。老大は「これ、触り心地がいい」と繰り返し、老二はそれを枕にして昼寝を始めた。クッションの表面は、子供たちの汗と涙で、かすかに光っていた。窓から差し込む午後の光が、クッションの模様を浮かび上がらせていた。

白良浜の小石
三段壁への小道を歩く途中、老二が拾った小石を持って帰った。小石は海水に濡れて滑らかで、まるで小さな海の彫刻のようだった。部屋の窓際に置いておくと、翌朝にはすっかり乾いて、指先で転がすとカタカタと音がした。老大は「これ、お土産にしよう」と言ったが、結局持って帰ることはなかった。小石は、海の記憶を静かに閉じ込めていた。

足跡の先に、バラの香りがした

  • 白浜駅から南紀白浜マリオットホテルまでの道中、子供たちと一緒に地元の薔薇園を訪ねてみよう。ゴールデンウィーク期間中は特別な香りが楽しめるはずだ。
  • ホテルのプールで泳いだ後、三段壁までの小道を散歩して、海の匂いと新緑の香りを比べてみよう。きっと子供たちの足音が聞こえるはずだ。