← 戻る H.1967

迷い込んだ路地、二つの記憶

(タカの視点)
「本当にここで合ってるのか?」と、僕は何度か地図を確認した。目の前にあるのは、車一台通るのがやっとの狭い路地だ。湿ったコンクリートの匂いが鼻をつき、誰が置いたのかわからない植木鉢が、まるで迷路の標識みたいに不規則に並んでいる。自分の足音だけが不自然に響く静寂の中、もし行き止まりに突き当たったら誰の責任にするか、僕は心の中で密かに決めていた。けれど、その突き当たりに、不自然なほど鮮やかなターコイズブルーのドアが見えたとき、僕たちの「迷子作戦」は成功したのだと確信した。結局、チェックインまで誰が一番道に迷ったかで言い合いを続けたけれど。

(ユミの視点)
路地の入り口を曲がった瞬間、空気がふわりと変わった気がした。街の喧騒が遠のき、代わりに古い家々が静かに呼吸しているような、穏やかな音が聞こえてくる。壁に描かれた素朴な手書きのイラストや、陽だまりに当たって少し色あせた緑の葉っぱ。そんな小さなディテールを眺めて歩くのが、まるで秘密基地を探検しているみたいでワクワクした。隣でタカが「ここじゃない」としきりに焦っていたけれど、私はその不安そうな横顔も含めて、この旅の心地よいリズムだと思っていた。あの青いドアを開けたとき、中に広がっていたのは、想像よりもずっと温かい、誰かの記憶の続きのような空間だった。

一皿の肉圓、二つの味覚

(タカの視点)
彰化に来たら肉圓を食べなきゃ、という強迫観念に突き動かされて辿り着いた店。目の前に出されたそれは、もちもちとした弾力のある生地に、濃厚で甘いタレがたっぷりと絡んでいた。一口食べた瞬間、その強烈な甘さに衝撃を受けた。台湾の甘さは、時々暴力的なまでに真っ直ぐだ。けれど、中の筍のコリコリとした食感と、白い胡椒のピリッとした刺激が、その甘さを絶妙にコントロールしている。熱々の肉圓を頬張り、口の周りをタレだらけにした友人たちの顔を見て、「あぁ、本当に来たんだな」と、胃袋から納得した瞬間だった。

(ユミの視点)
肉圓の味はもちろんだったけれど、それ以上に記憶に刻まれているのは、店先に立ち込めていた白い湯気と、地元の人たちの賑やかな話し声だ。11月の少し冷えた空気の中で、その湯気が柔らかく舞っている様子が、なんだか映画のワンシーンのように美しく見えた。隣でタレをこぼして慌てているタカを笑いながら、私はゆっくりと味わった。甘いタレが舌の上で溶け、そのあとにやってくる出汁の深い旨味。それは単なる食事ではなく、この街の温度や、時間をかけて積み上げられた生活の匂いを一緒に飲み込んでいるような感覚だった。お腹がいっぱいになる前に、心が満たされていく。

私たちが唯一、心を重ねた場所

H1967の部屋に入って、まず僕たちが全員で黙り込んだのは、その床の感触だった。裸足で踏みしめた磨石子の床は、ひんやりとしていて、けれどどこか懐かしい。50年以上も前からそこにある床が、どれだけの足音を吸い込んできたのだろうか。檜の階段を上がるたびに、かすかに木の香りが鼻をくすぐり、ミシンを改造した洗面台の不思議な造形に、みんなで「センスが独特すぎる」とツッコミを入れた。けれど、そんな冗談を言い合いながらも、僕たちは気づけば、この家の静かなリズムに自分たちを合わせていた。豪華な設備はないけれど、ここには「誰かが大切にしていた時間」がそのまま残っている。その静かな肯定感に、僕たちは心地よく身を任せていた。

夜、古い木の扉を閉めたときの、低く深い音が耳に残っている。

  • 彰化駅からの12分間の散歩を、あえて地図なしで楽しんでみて。
  • H1967のターコイズブルーのドアの前で、誰が一番に気づくか賭けてみるのがおすすめ。

近くのグルメ・スポット

ABees

ABees(旧・佳風蜜)は彰化市彰水路215号にあるカフェで、コーヒーと工夫を凝らしたクレープ・ガレット・デザートを中心に提供しています。看板メニューは花粉コーヒー、スパイストマトズッキーニガレット、ケールと山芋のガレット、シナモンりんごはちみつクレープで、一人あたり約400元が目安です。営業時間は非公開ですが、評価が高くメニューが豊富なことから、地元で人気の行列店となっています。

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Chris Cafe

Chris Cafeは台中西屯区の七期エリアにひっそりと構える隠れ家的な香港式喫茶店で、家庭料理風の広東料理を提供しています。看板メニューは周星馳映画で有名になったチャーシュー卵乗せご飯『黯然銷魂飯』と、カロリーたっぷりの『ピーナッツフレンチトースト』。店内は静かでゆっくり過ごせ、大遠百や七期商業エリアの買い物ついでに立ち寄るのに最適です。人気メニューを逃さないよう、事前予約をおすすめします。

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不二坊

不二坊は彰化県で唯一、伝統的な卵黄酥(蛋黄酥)を専業とする老舗で、創業約50年の歴史を持ちます。ラードとバターで黄金色に焼き上げた層生地の中に、しっとりとした塩漬けアヒルの卵黄と滑らかな小豆餡が包まれています。中秋節や節句には長蛇の列ができ、彰化を代表するお土産として知られています。卵黄酥以外にも、緑豆パイや老婆餅など昔ながらの菓子も販売。オンライン注文は不可で、店頭で直接並んで買うしかありません。

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五鮮級鍋物専門 鹿港旗艦店

五鮮級鍋物専売の鹿港旗艦店は、彰化県鹿港町中正路496号にある人気の鍋料理店です。おしゃれな内装と落ち着いた照明で、多様なスープとオーダー式メニューを提供しています。看板は大盛りの肉皿と、ご飯・ドリンク飲み放題。営業時間は11時から深夜2時までで、夜遅くでも熱々の鍋が楽しめます。一人あたり250〜300元とコストパフォーマンスに優れ、彰化の必食鍋ランキングに頻繁にランクインしています。

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