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蛇口からオレンジ色の液体が出た時の、あの顔

蛇口からオレンジ色の液体が出た時の、あの顔

私たちの騒がしさを黙って見守っていた5つの目撃者

みかんジュースの蛇口:指先に伝わるひんやりとした金属の質感と、そこから溢れ出す鮮やかで濃厚なオレンジ色。おもてなしラウンジに漂う甘い柑橘の香りに誘われ、「誰が一番こぼさずにグラスを満たせるか」という、大の大人が本気で取り組むどうでもいい賭けに興じていた私たちの滑稽な顔を、この蛇口は一番近くで見ていた。弾けるような笑い声がロビーにリバーブのように響き渡り、スタッフさんが困ったように、けれど温かく微笑んでいた光景を思い出すと、今でも心地よい気恥ずかしさが込み上げてくる。

今治タオルのボックス:指先が深く沈み込むほどの圧倒的な白さと、抱きしめた時に感じるずっしりとした重量感。誰が一番「ふかふか」な個体を選び出せるかという、静かながらも激しい争奪戦の目撃者だ。肌に触れた瞬間の、あの雲に包まれるような柔らかさはあまりに心地よく、「ああ、もう帰りたくないね」と誰かが呟いた瞬間、全員が言葉を失ってぼーっとし、贅沢な静寂に浸っていた。あの白さは、私たちの高揚感を優しく吸収してくれたはずだ。

朝食バイキングの白い皿:もくもくと湯気を立てる新鮮な地元の野菜と、山盛りになった彩り豊かな料理たち。午前8時だというのに、まるで深夜のパーティーのようなテンションで皿を埋めていた私たちの底なしの食欲。オレンジ色のメニューを競うように盛り付け、「見て、この盛り付け、芸術的じゃない?」と笑い合ったあの光景は、ある種の不協和音のような、けれど最高に心地よい混沌だった。皿の上に積み上げられたのは、料理ではなく、私たちの遠慮のない友情だったのかもしれない。

廊下の絨毯に沈むスリッパ:足裏に伝わるしっとりとした柔らかい感触と、密かに忍び足で移動する時にだけ聞こえる微かな摩擦音。深夜3時、誰が一番先に寝落ちするかを賭けて、結局全員が目が冴えてしまい、とりとめもない昔話を延々と続けていた時間の共犯者。道後やや / Dogo Yaya の厚い絨毯は、私たちのくだらない密談や、時折漏れた忍び笑いを、静かに、そして深く吸収してくれていた。あの柔らかい感触が、私たちの心を解きほぐしてくれたのだと思う。

本館へ続く緩やかな坂道:5月の湿り気を帯びたぬるい空気と、ふわりと風に乗って漂う藤の花の甘い香り。道後温泉本館を目指して歩く道中、「なんでこんなに坂があるんだよ」と口々にぼやきながら、肩を並べて息を切らしていた私たちの情けない姿。けれど、ふと見上げた新緑の鮮やかさと、透き通るような青空に、全員が同時に口を閉じたあの瞬間を、この道は覚えているはずだ。不満さえも旅のスパイスに変えてしまう、不思議な魔法がかかった道だった。

もし彼らが口を開いて私たちを評するなら

きっと彼らは、私たちを「静寂を塗りつぶしに来た、賑やかな嵐のような集団」と呼ぶだろう。道後やや / Dogo Yaya という、洗練された和の調和が支配する空間に、あえて不協和音を投げ込むような旅の仕方。けれど、その不協和音こそが、私たちが一緒にいる時にだけ発生する特別な周波数だったのだと思う。「ねえ、あっちに行ってみない?」という誰かの突拍子もない提案に、誰かが呆れながらも乗り、結果として全員で迷子になる。そんな、効率の悪い、けれど心の密度だけは異常に高い時間の積み重ね。彼らにとっては少々騒々しい客だったかもしれないが、私たちにとっては、人生で一番「正解」に近い、贅沢で愛おしい時間の使い方だった。

5月の風に混ざったバラの香りと、お湯上がりの火照った頬が、心地よく冷えていく感覚。

  • 蛇口から出る3種類のみかんジュースを、飲み比べて自分たちだけの正解を出す遊びをしてみてほしい。
  • お気に入りの今治タオルを一枚選び、そのまま外湯巡りの心強い相棒にするのが正解だと思う。