冬の朝、息が白くなる瞬間を思い出す。桜 River Side Stay 下呂温泉の玄関で、靴を脱ぐと足元が温かい。床がほんの少し暖かいのだ。子供が「なんで?」と聞く。
子供が純生貸切温泉を見つけた。浴槽の縁に指を這わせて「温泉って、お湯が動いてる!」と叫ぶ。大人は「貸切だから、誰にも邪魔されないんだよ」と答える。子供は理解したのか、裸足でフロアを走り回る。
ベッドに横たわると、床が少し温かい。これは加湿器のせいだけじゃない。飛騨川の水が流れる音が窓越しに聞こえる。大人が「これ、床暖房?」と尋ねると、スタッフが「温泉の熱を利用しています」と答える。子供は「温泉ってすごい!」と繰り返す。
ドイツ人シェフのスペアリブは、骨から肉が離れる瞬間までが美味しい。タレが骨についているのを子供が指で触って「ベタベタ〜」と笑う。大人は「シェフ、壁画みたい」と指さす。壁に描かれたエルウィンシェフの似顔絵が、テラス席の角度でシェフと乾杯しているように見えるのだ。
部屋の照明がレトロモダンな蛍光灯。光が飛騨川の水面で反射して、天井に波の模様が揺れる。子供が「波!」と叫ぶ。大人は、その波が部屋全体を包んでいるように感じる。
加湿器から立ち上る湯気が、部屋の角にたなびく。テラスの椅子は木製で、触ると少しざらざらしていた。子供が「これ、何の木?」と尋ねる。大人は「わからないけど、温かいね」と答える。
2月6日の節分の日、部屋で豆まきをする。子供が「鬼はどこ?」と聞く。大人は「もう追い出されたよ」と答える。その後、部屋は静かになった。飛騨川の音だけが残る。
部屋の細部に隠された温もり
母親の手の温もりが、子供の頬を撫でるように、このホテルの温もりが家族を包んでいた。
- 家族で足湯を楽しむコーナーで、子供の足が温泉のぬるさに驚く
- リバービューレストランで、ドイツ人シェフ特製のチョコレートフォンデュをデザートに