To us five years from now.
五年後の私たちへ
五年後も心に残る4つの瞬間
梅の花びらが零れるのを待った朝
2月半ばの箱根、小涌谷駅から続く散策道で、私たちは最初の梅の花を見つけた。薄いピンクの花びらはまだ五、六輪。誰かが「去年より二週間も早いんじゃない?」と呟くと、冷たい空気が頬を撫でた。息が白く立ち上る中、隣の人が「もしかしたら、もう一輪開いてるかも」と指差した先には、一輪だけ完全に花開いた梅があった。桜じゃないのに、桜以上の美しさに心を奪われた。
節分の豆まきで拾った「悪霊退治」の余韻
箱根彫刻の森美術館近くの小さな神社で、地元の人たちに混ざって節分の豆まきをした。年配の女性が「悪いことは全部、豆と一緒に外に捨てましょう」と優しく教えてくれた。私たちは机の下で拾い合いながら「今年の悪いことは何かな?」と笑い合った。帰り道、誰かの靴下が靴からはみ出していたのが、なんだかおかしくて、足取りが軽くなった。
水の音の露天風呂で感じた「時間の流れ」
箱根小涌谷温泉 水の音の客室露天風呂に浸かりながら、バレンタインデーのチョコレートを食べた。外は真っ暗で、温泉の湯気が空中で揺らめいていた。誰かが「この湯気、時間が止まってるみたい」とつぶやくと、私たちは思わず黙り込んだ。浴槽の縁に指を這わせると、タイルの表面がほんのり温かく、触感が心地よかった。バレンタインデーなのに、誰もチョコレートについて文句を言わなかったのが、逆に印象的だった。
水花の庄のベッドで見つけた「誰かのぬくもり」
水花の庄のセミダブルベッドで、三人で並んで寝た。真ん中の人が寝返りを打った拍子に、枕元に小さなメモが落ちた。「明日の朝、絶対に先に起きるな」と書かれていた。誰の字かわかったけれど、誰もそれを認めなかった。翌朝、三人とも6時半に目が覚めて、結局全員で朝食に向かった。
五年後の手紙を開くとき
五年後の今日、この手紙を開いた時、最初に目に入るのは「2月3日の切符」かもしれない。あるいは、水の音の露天風呂で撮った湯気の写真かもしれない。節分の豆まきで誰かが落とした豆の写真かもしれない。どれも大したことじゃない。でも、その時に感じた「ほんの少しの温かさ」は、きっと今でも心のどこかに残っている。
この手紙を開いた時、私たちがどんな関係になっているのか想像もつかない。でも、その時にこのメモを読み返した時に、私たちが笑えるような、そんな関係であってほしいと思う。
箱根の2月に、私たちは梅の花びらを追いかけた。
- 2月の箱根では、とにかく早朝散策をしよう。空気が一番澄んでいる時間帯だから。
- 水の音の客室露天風呂で、チョコレートを持参しよう。その時の空気と湯気の記憶が、きっと忘れられない。