← 戻る ホテルリソル 函館

まぶたを閉じても、赤い花が揺れていた

まぶたを閉じても、赤い花が揺れていた

凍てつく街で見つけた、予想外の5つの断片

靴を脱ぎ捨てた瞬間の、静かな解放感
凍てつく函館の風にさらされ、感覚が麻痺しかけていた足元で、厚い冬靴がフロアに落ちる鈍い音が響いた。そこから先は、靴下だけが触れる温かな世界。ホテルリソル函館に足を踏み入れた瞬間、鼻腔をくすぐるウェルカムアロマの柔らかな香りに包まれ、「ああ、もう大丈夫だ」と肺の奥まで温まっていく感覚に、私たちは同時に深く息を吐き出した。

モダレットダブルという、心地よい密室の安堵
140センチの幅に身を寄せ合うモダレットダブルのベッドに沈み込んだとき、シーツのパリッとした清潔な質感と、絶妙な沈み込みが全身を解きほぐしていく。深夜3時、冷たいタイルからベッドまでのわずか数歩の距離が、冬の夜には果てしなく遠い旅路のように感じられ、「誰一人として布団から出たくない」という静かな合意が、心地よい沈黙となって部屋を満たしていた。

白銀の世界に散った、鮮烈な赤の記憶
梅まつりで目にした、一面の白銀に点在する深い赤。頬を刺す冷たい風の中で、その鮮やかな色彩だけが網膜に強く焼き付き、目を閉じてもまだ花が揺れているような錯覚に陥った。誰かが氷の上で派手に滑った瞬間、私たちは寒さを忘れて子供のように笑い転げたけれど、その笑い声さえも、吸い込まれるように白い景色に溶けていった。

「正論」のアイコンに抗う、食欲の勝利
イートウェル・ブレックファストのメニューに添えられた、管理栄養士監修の栄養アイコンたち。健康を意識すべきだという「正論」を前にして、私たちは結局、湯気が立ち上る地元料理の誘惑に抗えず、一番美味しそうな皿に手を伸ばした。栄養バランスよりも、目の前の温かな幸福感に賭けることこそが、私たちらしい旅の正解なのだと確信した瞬間だった。

路面電車の振動が刻む、街の呼吸
ガタゴトと揺れる路面電車に乗り、領事館や教会へと向かう道中。座席から伝わる低周波の振動が、この街が積み重ねてきた歴史の厚みを直接肌に伝えてくれる気がした。窓の外を流れるレトロな街並みが、冬の淡い光に照らされて、まるで色褪せた古い映画のワンシーンのように、ゆっくりと、けれど確実に過ぎ去っていった。

これらの瞬間が積み重なって

バラバラだった感覚の断片が、Hotel Resol Hakodateでの夜を挟むことで、一つの物語に編み上げられていった。寒さに震えた道も、互いの至らなさを笑い合った時間も、すべてはあの温かなベッドという「帰る場所」があったからこそ、心地よい冒険として完結できた。不便さや寒さを共有し、それを笑いに変える。視界に残った梅の赤や路面電車の振動は、私たちの間にだけ流れる特別な周波数になった。

まぶたの裏に、まだ冬の函館の白い光が残っている。

  • JR函館駅から徒歩3分の距離を、あえてゆっくり歩いて街の温度を感じてほしい
  • ホテルのシューズオフスタイルを最大限に活用し、部屋に帰った瞬間に完全に脱力すること