← 戻る 東急ステイ 函館朝市 灯の湯

濡れた靴下が、ゆっくりと乾いていく音

濡れた靴下が、ゆっくりと乾いていく音

五月の函館、家族の記憶を奏でる五つの音

部屋の隅で低く、規則的に鳴り続ける靴乾燥機の唸るような音。五月の不意な雨に降られ、ぐしょぐしょに濡れた子供たちのスニーカーが、ゆっくりと熱を帯びていく。濡れた布が乾くときの、少しだけ甘い懐かしい匂いが部屋に漂い、この一定のリズムを聞いていると、今日一日の「大冒険」がようやく終わり、安全な港に戻ってきたのだという安堵感に包まれた。

ホテルを出てわずか一分。函館朝市に満ちる、突き抜けるような活気と潮の香り。店員さんの威勢のいい掛け声と、氷の上で魚たちが跳ねて水しぶきを上げるパシャッという音に、長男が「見て!イカが動いた!」と歓声を上げ、父親がそれに慌てて応える。大人の都合で決めたスケジュールなんてどうでもよくなり、心地よい混乱に身を任せていると、バラバラだった家族のピースが、ちょうどいい形で組み合わさっていく快感に似た充足感があった。

18階の露天風呂で、頬を撫でる冷たい夜風と、肌を包み込む熱い湯の温度差。子供たちが「お湯がしゅわしゅわする」と、いつもより小さな声で囁き合う。高い場所から見下ろす街の灯りと、白く立ち上る湯気の幻想的なコントラスト。ここでは誰が誰をリードする必要もなく、ただお湯の温度に身を任せていればいい。そんな贅沢な静寂が、東急ステイ 函館朝市 灯の湯には流れていた。

コーナーツインの客室に響く、洗濯機が回る心地よい振動音と、ミニキッチンで皿が触れ合うカチャカチャという小さな音。旅先でありながら、ここだけは日常の延長線上にある。重い荷物を抱えて移動するストレスから解放され、身軽に歩ける喜びを、回る洗濯機が教えてくれているようだった。便利さというよりは、自分たちのリズムを取り戻せる場所がある安心感が、家族の笑顔をより自然なものにしてくれる。

浴後休息室で、北海道産アイスクリームを頬張る時の、静かな満足感。一番下の子が口の周りを真っ白にして、満足そうに「ふぅ」と小さく息をつく。冷たさに少しだけ身震いしながらも、幸せそうに目を細めるその表情と呼吸の音に、この旅で一番大切なものが詰まっている気がした。特別なイベントがあることよりも、ただ一緒に同じ味を共有しているという事実が、何よりも心強い。

窓の外に広がる新緑の街並みが、ゆっくりと夜の深い青に溶けていく。

  • 朝市まで徒歩1分なので、子供の不意な「お腹空いた」という要求にも、即座に対応できる安心感がある。
  • 客室の洗濯乾燥機があるおかげで、着替えの山を抱えなくて済み、心に十分な余白が生まれる。