← 戻る ラビスタ函館ベイ

濡れた靴底が鳴らす、不器用なリズム

ラビスタ函館ベイで挑んだ「大人の全力遊び」検証記録

13階の絶景をバックに「エモい」一枚を狙う作戦
結果は惨敗。冷たい窓ガラスに額を押し付け、液体のように溶け出した黄金色の夜景を切り取ろうとしたが、構図を巡る20分間の激論の末に撮れたのは、光が滲んだ抽象画のようなボケ写真だけだった。「もういいよ、適当に撮ろうぜ」という諦めの声が、遠くで聞こえる車の走行音と共に静かな部屋に響いた。完璧を求めたはずが、結局は誰が一番不器用にシャッターを切るかという、滑稽な競い合いに終わった。

朝食ビュッフェで海鮮を限界まで盛り付ける選手権
これは大勝利。皿の上に高く積み上げられたホタテとイクラの山を前に、「これ、漁港をそのまま皿に盛り付けたな」と誰かが呟いた。プリプリとしたホタテの弾力と、口の中で弾けるイクラの濃厚な潮の香りが、コーヒーの芳醇な香りと混ざり合い、贅沢な朝の時間を演出する。胃袋が悲鳴を上げるまで食べ続けるという、ある種のスポーツのような快感に浸り、私たちはただただ、その贅沢さに圧倒されていた。

最上階の露天風呂で「大人の静寂」を堪能する試み
結果は開始3分で崩壊。肌を刺す冷たい夜気と、体を包み込む熱い湯のコントラストにうっとりし、檜の香りがかすかに漂う大正ロマンな空間に身を任せていたが、「あそこの店、誰が奢るか賭けない?」という囁き一つで、静寂は一気に笑い声に塗り替えられた。視界を白く染める濃密な湯気に巻かれながら交わすくだらない会話は、どんな贅沢な時間よりも心を解きほぐしてくれた。

雨の中、赤レンガ倉庫まで全力で歩く冒険
予想外の収穫。傘を叩く雨粒の規則的なリズムを聞きながら、靴の中までしっとりと濡れ、湿ったウールのコートが重くなったが、濡れた石畳に反射する街灯のオレンジ色が、まるで古い映画のワンシーンのように幻想的だった。雨上がりの土と潮が混ざった匂いの中、深く濃くなった紫陽花の青色が目に焼き付き、効率を捨てて「ただ濡れる」という贅沢に、私たちは心から酔いしれた。

旅の感情スコアボード

一番の「勝ち」は、海鮮の山を前にして全員が呆然とした瞬間。逆に、完璧な写真を狙った努力は完全な「負け」だった。けれど、ラビスタ函館ベイのクラシカルな内装や、足元で柔らかく沈み込む絨毯の感触が、私たちの不器用なやり取りを優しく包み込んでくれた。計画通りにいかないことこそが、この旅のメインディッシュだったのだ。計算できない時間こそが、一番の価値を持つ。

雨上がりの廊下に、夜景を鏡のように映し出す小さな水たまりがあった。

  • 誰が一番多く海鮮を盛り付けられるか、静かに、でも激しく競い合ってみること
  • 傘を差さずに、紫陽花が一番濃い色に見える場所を誰よりも早く見つけること