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バラのアーチの下で、手を繋いだ

バラのアーチの下で、手を繋いだ

3 PM、石段の上で足を止めた

その日はゴールデンウィークの真っ只中だった。私たちは渋川の石段街を上っていた。段差の一段一段が、ゴールデンウィークの人の流れに合わせて揺れていた。と、忽然、目の前にバラのアーチが現れた。小ぶりなピンクのバラが、石段の両側でかろうじて花を咲かせていた。手を伸ばしたら届く距離。バラの花びらは、触った瞬間、意外と固かった。伊香保温泉 福一の周辺は、石段街の風情が漂う中、黄金の湯や白銀の湯で知られる温泉街だ。

「こんなところにバラが咲いてるなんて、知らなかった」私と相手は、思わず顔を見合わせた。足を止めた瞬間、周りの人の流れがぴたりと止まったように感じた。誰もが、この小さな奇跡に気づいてほしいと思っているみたいに。私たちは、アーチの下で立ち止まった。石段の両側に咲くバラの香りは、少し甘ったるくて、でもその甘さの奥に、うっすらと土の匂いが混じっていた。

2 AM、蝉の声が二人の間を埋めた

庭園個室風呂から戻った部屋は、完全に暗闇だった。湯から上がったばかりの肌は、まだじんわりと温かかった。バスタオルで拭く手の動きが、静寂をかき分けるようにゆっくりと進む。部屋の窓は半分開け放っていた。外から聞こえるのは、蝉の声だけだった。伊香保温泉 福一の庭園個室風呂は、外からの音をほとんど遮断する。その静寂は、まるで厚い布で包まれているようだった。

この蝉の声は、不思議なことに、二人の間の空気を埋めるように聞こえた。まるで、二人で一緒に聴いているから、その音がこんなに豊かに響くのかもしれない。「この声、ずっと聴いていたいな」相手が小さく呟いた。私たちは、ベッドに並んで座っていた。窓の向こうに、霧が揺れていた。

伊香保の石段街には、バラのアーチが残る店が点在している。5月はバラの季節であり、ライトアップされることもある。伊香保神社や河鹿橋も近く、散策には最適だ。

窓の向こうに、霧が揺れていた