少しだけ大きすぎる、足元のリズム
ベージュのホテルスリッパ。それは玄関先に、少しだけ不揃いに並んでいた。使い込まれたタオルのような、どこか懐かしく、それでいて心細さを包み込んでくれる柔らかな手触り。指先で触れると、6月のしっとりとした湿った空気をたっぷりと吸い込んだ布地が、…
湯気の向こう側で、呼吸を合わせる
「ね。温泉旅館っていうより、街の賑やかさをそのまま建物に閉じ込めた感じ」 君がそう言って、クア・アンド・ホテル 石和健康ランドのロビーで少しだけ首を傾げた。どこからか漂うかすかな硫黄の香りと、カラオケの遠い歌声、ゲームセンターの電子音が、心…