厨翠山
ホテル情報
- 住所 日本、〒061-2303 北海道札幌市南区定山渓温泉西3丁目4
- 電話 +81 11-598-5555
- 評価 · 出典:Google ↗




泊の記事
指先が触れるまで、少しだけ時間がかかった
鼻腔の奥を鋭く刺すような冷気が、肺の隅々までを白く塗りつぶしていく。二月の定山渓は、世界から色彩が奪われ、ただ白とグレーの繊細な階調だけが残された静止画のような場所だった。岩戸観音堂へと続く道を歩けば、雪を踏みしめるたびに「ギュッ、ギュッ」…
湯気の向こうで、誰かが小さく笑った
2月の札幌は、空気が鋭い。肺の奥まで凍りつき、自分の輪郭さえも白く塗りつぶされていくような感覚。そんな極寒の中、厨翠山 / Kuriyasuizanの暖簾をくぐった瞬間、しっとりと温かい空気が肌を包み込んだ。洗練された家族旅行を計画したはず…
指先に残った、春の湿った空気
手首を撫でる風が、まだ冬の名残を孕んでいて、ひんやりと肌に心地よい。5月の定山渓は、空気がたっぷりと水分を含み、呼吸をするたびに肺の奥まで洗われるような清涼感に満ちていた。隣を歩く君の歩幅が、いつもより少しだけゆっくりに感じられたのは、きっ…
浴衣の裾を引く小さな手と、お出汁の匂い
チェックインを済ませ、厨翠山 / Kuriyasuizanのロビーに足を踏み入れた瞬間、次男の小さな指が私のリネンのワンピースの裾をぎゅっと掴んだ。指先には、車内で食べたグミの甘いベタつきがまだ残っている。ふわりと漂う白檀のような落ち着いた…
浴衣の袖が触れたとき、少しだけ呼吸を止めた
指先に触れる浴衣の生地が、少しだけ硬くて、それでいて肌に馴染む。帯を締め直すとき、君の指が不意に私の腰に触れ、私たちはどちらからともなく、小さく息を止めた。そんな、名前のつけられない心地よい緊張感を抱えたまま、私たちは「厨翠山 / Kuri…
炭の香りと、午後七時の笑い声
5年後の私たちへ。定山渓の7月は、驚くほど空気がひんやりとしていたね。杉の香りが混じった風に吹かれ、浴衣の帯を締め直すたびに、誰かの不器用さを笑い合ったあの心地よい温度感を、今も覚えているかな。…
小さな指が、私の服をぎゅっと掴んだ
浴衣の綿の生地が、子供の歩幅には少しだけ長すぎる。裾を何度も踏んづけては、「おっとっと」と小さな体が左右に揺れる。裸足で廊下を歩くときの、ペタペタという湿った音が、静謐な空間に心地よく響いていた。下の子が「ここ、本当にお城みたい!」と歓声を…
ぬるくなったお茶と、隣にいる温度
レストラン「厨」に足を踏み入れた瞬間、肺の奥まで満たしたのは、しっとりと湿り気を帯びた秋の夜気と、どこか懐かしく、胸を締め付けるような炭焼きの香りだった。オープンキッチンの中心では、職人が静謐なリズムで包丁を動かしている。その迷いのない手つ…
木の床に跳ね返った、小さな笑い声
10月の定山渓は、空気がひんやりと澄み渡り、深く吸い込むと鼻の奥がツンとする。道端の紅葉は、誰が筆を走らせたのかと思うほど鮮やかな朱に染まり、風に揺れるたびにカサカサと乾いた囁きを上げる。岩戸観音堂へと向かう道すがら、次男が「なんで葉っぱが…