花もみじ
ホテル情報
- 住所 日本、〒061-2303 北海道札幌市南区定山渓温泉西3丁目32 ホテル鹿の湯
- 電話 +81 11-598-2311
- 評価 · 出典:Google ↗


泊の記事
湯気に溶けて、隣にいることが当たり前になる
鼻腔を刺すような凛冽な冷気。一月の札幌、定山渓の空気は、肺の最深部まで凍てつかせるような鋭さを孕んでいる。降り積もる雪が音をすべて吸い込み、世界から色彩が抜け落ちたかのような静寂に包まれる中、私たちは凍えた身体を寄せ合いながら花もみじの暖簾…
指先が赤くなるまで、雪を丸めた日のこと
下の子が、自分にはあまりに大きすぎる浴衣の裾を踏んで、「おっとっと」と小さくよろけた。それを追いかける上の子の弾む足音と、私のあきらめ混じりの笑い声が、静まり返った廊下に心地よく跳ねる。1月の北海道を包む空気は、まるで研ぎ澄まされた刃のよう…
浴衣の裾を少しだけ踏んだ、あの瞬間の温度
三月の定山渓は、まだ冬の深い眠りから覚めきっていない。窓の外に広がるのは、淡い灰色に塗り潰された空と、溶け残った雪が作り出す鈍色の世界だ。けれど、花もみじのロビーに足を踏み入れた瞬間、視界に鮮烈に飛び込んできたのは、ひな祭りの飾りに添えられ…
指先に残った、春の甘い温度
チェックインを済ませ、ロビーの静謐な空気の中で最初に口にしたのは、春の訪れを告げる桜餅だった。淡い桃色の生地を包む桜葉の、しっとりとした質感と、鼻腔をくすぐる芳しい香りに、ふっと肩の力が抜ける。薄い皮の、ほんのりとした塩気が舌先に触れた瞬間…
藤の花の香りが、少しだけ冷たい風に混ざっていた
5年後の私たちへ。ガイドブックを閉じて、あてもなく歩き出したあの日のことを覚えているかな。5月の札幌は、肌を刺すひんやりとした空気の中に、どこか懐かしい季節の匂いが混じっていた。あの予定外の心地よさを、忘れないようにここに閉じ込めておくね。…
指先に残った、冷たい甘さと雨の匂い
チェックインを済ませて最初に口にしたのは、冷えたグラスに注がれたベリー系のウェルカムドリンクだった。指先に伝わるガラスの結露が、外の湿った空気よりもずっと鋭く、心地よい。深い紅色の液体が喉を通る瞬間、鮮やかな甘酸っぱさが、それまで頭の中にあ…
濡れた浴衣の袖と、小さな手のひら
アスファルトに落ちた雨粒が、小さな波紋を広げては消えていく。6月の定山渓は、空気がしっとりと肌に張り付くような、柔らかな湿度に包まれていた。車のドアを開けた瞬間、肺の奥まで入り込んできたのは、濡れた土と針葉樹が混ざり合った、少し冷たくて濃い…
指先が触れそうで触れない、木のテーブルの温度
もし、いまあなたが予約ボタンを押すのを迷っているのなら。あるいは、隣にいる人とのちょうどいい距離が分からなくて、どこか遠くへ行きたいと思っているのなら。十月の冷たい空気が、心地よく肌を刺す頃の定山渓の話をさせてください。記憶の底に沈めていた…
浴衣の袖を掴む、小さな手の体温
炊きたての米が放つ、甘くて白い湯気が視界を柔らかく包み込む。花もみじの朝食会場に足を踏み入れると、まず耳に飛び込んでくるのは、高い天井に反響する子供たちの高い笑い声と、陶器の器が触れ合うカチャカチャという不規則なリズムだ。出汁の芳醇な香りが…