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コーヒーカップの湯気の向こうに山が見えた瞬間

富士の麓で試した、不器用な僕たちの4つの作戦

溶岩温泉での「完璧な瞑想」チャレンジ
午前6時の空気はまだ鋭く、肺の奥まで洗われるような冷たさがある。ふふ 河口湖 / FUFU Kawaguchiko の客室にある天然温泉に足を浸すと、ざらりとした溶岩石の感触と、視界を白く染める濃密な湯気が身体を包み込んだ。全員で口を閉じ、静寂に身を委ねて精神を統一しようと試みたが、誰かが堪えきれず「クシュン!」と小さくくしゃみをした瞬間、張り詰めていた緊張の糸がぷつりと切れ、爆笑の渦に。静寂を極めるはずが、結果的にこの旅で一番賑やかな時間となり、「まあ、僕たちらしいか」と心地よい諦めが胸に広がった。

早朝カヌーで「逆さ富士」を独占する作戦
鏡のように静まり返った湖面にパドルを差し込むと、冷たい水滴が宝石のように飛び散り、心地よいリズムで水面を叩く音が静寂に響く。早朝の湖特有の、少し青みがかった冷たい空気と水辺の香りに包まれ、完璧な構図で富士山を捉えようと企んだ。けれど、漕ぎ手の呼吸が全く合わず、カヌーは湖上でゆっくりと円を描き始めた。「あ、回ってる!」という叫びと共に目的地を失い、途方に暮れたが、そのおかげで誰にも邪魔されない湖上のティータイムを長く楽しめた。ある意味、効率的に失敗したと言える、贅沢な迷走だった。

木漏れ日スタイリッシュスイートの「布地」鑑定会
「木漏れ日」の名を冠した部屋に漂う、ほのかな木の香りと柔らかな光。そこに配されたリネンの心地よい硬さやベルベットの滑らかさを、真剣な面持ちで触り比べて「どちらが至高か」を競い合った。「この質感、高級すぎて緊張するな」と呟きながら議論する様子は、客観的に見れば相当に滑稽だったはずだ。結局、一番高価そうなクッションを誰かがストレスボールのようにギュウギュウに握りしめていて、スタッフの方に苦笑いされた。洗練された美意識に、僕たちの野生が完敗した瞬間だった。

薪暖炉の前で「大人の深い会話」を演出する
パチパチと薪が爆ぜる心地よいリズムと、鼻腔をくすぐるかすかな煙の香りに包まれ、人生の方向性について語り合おうと試みた。オレンジ色の炎が揺れ、互いの顔を暖かく照らす完璧なムードの中、「今の自分たちに足りないものは何か」と切り出したはずだったが、結果的に盛り上がったのは「10年前のコンビニの変な新商品」について。深い哲学的な話になるはずが、記憶の底にあるどうでもいい断片を掘り起こして夜中まで笑い転げた。大人の会話とは程遠いけれど、こういう時間が一番贅沢なのだと確信した。

旅の記憶を刻むスコアボード

結局、この旅で最も価値があったのは、ふふ 河口湖 / FUFU Kawaguchiko の「完璧なラグジュアリー」に僕たちがうまく適応できなかったことだと思う。静謐な森の香りと富士の威容という額縁の中に、僕たちの不器用なノイズが混ざり合う。豪華なスイートルームで、誰かがバスローブの裾を踏んでよろけた瞬間、ここが僕たちの居場所だと確信した。お上品に振る舞うことは0点。でも、一緒に笑い転げたことは満点。そんな気がしてならない。

チェックアウトの時、服にほんの少しだけ、深い森の香りと薪の匂いが染み付いていた。

  • 午前6時のカヌーに挑戦し、あえて目的地を決めずに湖の上を漂い、富士の呼吸を感じてみて。
  • 部屋のバルコニーで、富士山が夜の闇に溶け込むまで、ただぼーっと風の温度に身を任せてみて。