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氷の上で靴を履き直す

氷の上で靴を履き直す

この旅で五年後まで残る5つのこと

1. 靴下が湿った瞬間の色
草津の朝は、靴下がすぐに湿った。紅葉の下を歩いたら、靴下の裏が薄茶色に染まった。その色が、五年後の秋になったら、きっと「ああ、あの日だ」と思い出す。靴下の繊維に染み込んだ草津の朝露は、まるで時間を閉じ込めたカプセルのよう。触れただけで、あの日の空気が蘇る。

2. 湯畑の足音が消えるとき
裸足で湯畑の横を歩いた。足の裏が温泉の熱でじんじんする。そのとき、友達が「聞こえる?」って言った。 niente。湯気が、足音を全部飲み込んでいた。湯畑の湯気が立ち上る様子は、まるで白い布が揺れているよう。足音が消える瞬間、時間までもが静止したように感じた。

3. 宵宮の花火が空を裂く音
夜の宵宮で、芸術花火が打ち上がった。音が遅れて届く。空が一瞬でピンクとオレンジに染まる。そのとき、誰かが「これ、写真に撮れない」って呟いた。その通りだ。花火の光が、お宿 木の葉の屋根越しに反射して、まるで天井が燃え上がっているかのようだった。

4. 回廊の足音が二度響く
お宿 木の葉の回廊を歩いていたら、足音が二度響いた。一回目は足音。二回目は、回廊の木が足音を反響させた音。そのずれが、五年後の今でも耳の奥で鳴っている。回廊の木目は、まるで五線譜のよう。足音が奏でるメロディは、時間を超えて響き続ける。

5. 湯船から見た紅葉のイルミネーション
お宿 木の葉の露天風呂から、紅葉がライトアップされていた。湯気と光が混ざって、世界が歪んで見えた。そのとき、友達が「これ、五年後も覚えてるよ」と言った。湯船の湯気が、紅葉の光を包み込み、まるで燃えるような紅葉の海が広がっているかのようだった。


五年後の手紙を開けたとき

湯気の温度が、紅の色が、足音が。五年後の手紙を開けたとき、この5つのどれかが必ず蘇る。もしかしたら、全部ではないかもしれない。でも、そのどれかが引き金になって、他のすべてが一気に戻ってくる。

手紙を開けた瞬間、最初に感じたのは、草津温泉特有の硫黄の匂い。それは、まるで五年前のあの日の空気そのもの。指先に触れた紙の質感は、湯畑の湯気が染み込んだ靴下の感触に似ていた。手紙を広げると、そこには紅葉の絵が描かれていた。その赤は、お宿 木の葉の露天風呂から見たイルミネーションの色そのもの。

そのとき、涙が一筋頬を伝った。五年後の今でも、あの日の感動が生々しく蘇る。手紙を握りしめながら、友達の声が耳の奥で聞こえた。「これ、五年後も覚えてるよ」。その言葉が、時間を超えて響く。

氷の上で靴を履き直すように、そのときの感触を思い出すだろう。

  • 宵宮の花火を見に行くときは、カメラを持たない。
  • 草津の朝は、靴下を一足多く持っていく。
  • お宿 木の葉の回廊を歩くときは、足音に耳を澄ませる。