和室の畳に足の裏を押しつけたとき、大人は小さく息を呑んだ
1月の草津は、肌が覚える寒さと空気が持つ透明感が同居する季節だ。草津温泉 大東舘の和室に足を踏み入れた瞬間、子どもたちは「うわ、あったかい!」と布団に飛び込むように畳に座り込んだ。大人のほうは、畳の冷たさに思わず足の裏を引っ込めそうになる。でも、その冷たさが温泉の湯気と混ざり合って、不思議と体の芯まで温まる感覚がやってきた。
寝る前の小さな争いが、結果的に良かったのかもしれない
老大は「お風呂入る前は絶対服を脱がない主義」で、老二は「お風呂の前にお菓子を食べる派」。当然、洗面所の前で10分間の小競り合いが始まった。でも、その時間があったからこそ、お風呂から上がった後の子どもたちの表情はとても穏やかだった。大人はその間、部屋の隅でふと見つけた掛け軸の模様を指でなぞっていた。掛け軸の梅の花びらが、ライトアップされた湯畑の明かりでうっすらと浮かび上がっていた。
子どもは「湯畑ってプール?」と聞いた。大人は「これ、時間を止める装置かもしれない」と思った
和室の窓から見える湯畑は、夜になるとライトアップされて黄金色に輝く。老二は「あれ、プール?」と尋ねた。老大は「プールって火傷するでしょ」と即座に否定したが、老二は「でも水の中に白い煙が出てる!」と食い下がった。大人はそのやり取りを聞きながら、ふと時計を見た。7時半なのに、時間が数分遅れているような感覚に陥った。
足湯「湯けむり亭」で老大が「これって温泉?」と聞いた。老二は「お魚いる!」と叫んだ
足湯「湯けむり亭」は、草津温泉 大東舘から歩いて5分。子どもたちは足湯の湯気で白くなった自分の足を見せ合って大騒ぎしていた。老大は「これってお風呂のお湯?温泉ってもっと熱くない?」と首を傾げた。老二は「お魚いる!」と忽然叫んで、湯気の中に手を突っ込もうとした。大人は思わず「子どもは本当におもしろいね」と笑った。
6時の湯畑ライトアップは、まるでおとぎ話の一場面だった
朝6時、まだ空は薄暗い。和室の窓から見える湯畑は、ライトアップされて黄金色に輝いていた。老二は「おばけみたい!」と言って布団に隠れた。老大は「でもきれいだね」と小声で呟いた。大人はその間、コーヒーを一口飲んで、その温かさが体の隅々まで行き渡るのを感じていた。
朝食の時、老二が「もう一回くる?」と聞いた。大人は無言で頷いた。
- 朝食バイキングで地元の梅干し入りおにぎりを食べる
- 足湯「湯けむり亭」の前で、老大と老二がじゃんけんをして勝ち負けを楽しむ