裏草津 蕩 TOU
ホテル情報
- 住所 日本、〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町草津300
- 電話 +81 279-82-5805
- 評価 · 出典:Google ↗
泊の記事
提灯の灯が揺れる頃に、私たちはここにいた
布団から這い出すと、空気が頬を打った。冷たいのに、なぜか心地いい。窓の隙間から漏れる薄明かりが、畳の織目に沿って這っていた。私たちは黙っていた。声よりも先に、足の裏が畳の温もりを覚えた。その熱が、体の芯まで届くまでに、どれだけの時間がかかっ…
湯気の向こうで、小さな手が私の袖を引いた
湯畑の喧騒を離れ、ホテルへと向かうわずか三分の道のり。二月の凍てつく空気が鋭く鼻腔を突き、吐き出す息は白く濁って、目の前の景色を淡いヴェールのように遮っていた。上の子は「迷路みたい!」とはしゃいで先を急ぎ、下の子は私のコートの裾をぎゅっと掴…
煙が立つ湯畑の前で
To us five years from now…
湯気に溶けた、ふたりの距離
チェックインを済ませ、草津の冷え切った空気の中で最初に口にしたのは、地蔵焼きだった。指先に伝わる紙包みの熱さと、もわっと立ち上がる、どこか懐かしい土のような匂い。一口かじれば、ホクホクとした甘みがゆっくりと喉を通り、旅の緊張で強張っていた肩…
小さな指先が触れた、木のぬくもり
鼻先に届くのは、雨上がりの土が放つ濃密な匂いと、どこか遠くで揺れている藤の花の甘い香り。5月の草津は、目に刺さるほど鮮やかな新緑に包まれ、歩くたびに足裏から冷たい地面の温度が伝わってくる。ゴールデンウィークの湯畑は、まるで巨大な生き物がうね…
濡れた靴下の匂いと、囲炉裏の爆ぜる音
6月の草津は空が低く、しっとりと濡れたアスファルトの匂いが鼻の奥に張り付いている。湯畑から裏草津 蕩 TOUへと歩くわずか3分の道中、長男は「雨が止まないよ」と不満げに肩をすくめ、次男はわざと水たまりを蹴り上げ、靴下をじわじわと濡らしていた…
湯気の向こうで、指先が触れるまでの距離
グラスの中で氷が小さく鳴り、コースターの上に淡い水輪が広がっていく。僕たちはそれを拭い去ることさえ忘れ、畳に落ちる午後の陽光が描く、不規則な影の揺らぎをただ眺めていた。八月の草津は、空気が濡れた綿のように重く、肌にまとわりつく。一歩外へ出れ…
火薬の匂いと下駄の音が混ざる夜
湿った浴衣の生地が、肌にぴたりと張り付く。どこからか漂ってくる濃厚な硫黄の匂いと、遠くで鳴り響く太鼓の低い振動。思考よりも先に身体が反応する、そんな濃密な空気に包まれていた。私たちは、計画を立てるのが絶望的に下手なグループだ。結局、誰が何を…
指先が触れたとき、秋の匂いがした
予約画面を前にして、指を止めているあなたへ。十月の草津は、少しだけ空気が冷たくて、でも心地いい。もし今、行くべきかどうか迷っているのなら、その迷いごと連れてきてほしい。正解なんてなくていい。ただ、二人でそこに在るだけで十分な時間が、ここには…
ポケットに残っていた、一枚の赤い葉っぱ
十一月の草津の空気は、深く吸い込むと肺の奥が少しだけツンとする。そんな凛とした冷たさの中で、上の子が「見て!こっちの方がずっと赤いよ!」と歓声を上げ、地面に散らばったもみじを必死に集めていた。大人が眺める紅葉は静止した風景だけれど、子供にと…