薬師の湯 湯元館
ホテル情報
- 住所 日本、〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町草津366
- 電話 +81 279-88-3394
- 評価 · 出典:Google ↗
泊の記事
誰かが見つけてくれた、この白い景色の名前
部屋に入ったら、枕元に置かれた紙袋が目に留まった。中には草津温泉のお土産が入っているはずなのに、触ってみると硬いお饅頭の包みだった。友達が「お腹空いた?」と訊くので、思わず笑ってしまった。…
指先だけが、まだ冬の温度を覚えていた
濡れたウールのコートが、肩にずっしりと重く張り付いている。二月の草津の空気は、肺の奥まで鋭く突き刺さるような冷たさで、吐き出す息は白いリボンのように宙に舞い、すぐに夜の闇に溶けていった。薬師の湯 湯元館のロビーに足を踏み入れた瞬間、外の刺す…
湯気の中で、小さな手が私の指を握った
1. ぺたぺた、と濡れた足裏が廊下の床に張り付く音。二月の刺すような冷気に凍えていた肌が、暖簾をくぐった瞬間にほどけ、お風呂から飛び出してきた次男が水溜まりを撒き散らしながら全力で走っている。硫黄の香りがかすかに漂う温かな廊下に、子供という…
湯気の向こうで、小さな手が私の指を握っていた
午前七時。部屋の空気がまだ凛としていて、布団の温もりにしがみつきたくなる時間だ。足先が畳に触れたとき、その心地よい冷たさに、あぁ、本当に旅に来ているのだと意識が覚醒する。子供たちはまだ半分夢の中にいて、上の子が「お腹すいた」と小さく呟き、下…
指先が触れるまでの、わずかな温度差
四月の草津は、まだ冬の端っこを掴んでいるという気がする。旅館の重い木の扉を開けた瞬間、外の刺すような冷気と、中で待っていた硫黄の混じった温かい空気がぶつかり合い、小さな渦を作っていた。薬師の湯 湯元館の重厚な佇まいは、訪れる者を包み込む大き…
濡れた靴下と、誰のせいか分からない笑い声
5年後の私たちへ。あの時、誰が傘を忘れたか、もう記憶から消えている頃だろうか。でも、雨の中を走って辿り着いたあの場所の温度だけは、今も指先に残っている。不器用だったあの旅を、今のあなたはどう思い出しているだろう。…
浴衣の裾が夜風に触れる音
浴衣の帯をきつく締めすぎたのか、次男が「お腹が苦しいよ!」と、もぞもぞと体をよじらせて大騒ぎし始めた。長男は「大人はこうやって結ぶんだよ」と、得意げに教えようとしているけれど、その手つきはおぼつかなく、帯はどこか心許ない。足の裏からじわりと…
浴衣の裾が畳を滑る、小さな音
鼻の奥をツンと突く、卵のような、けれどどこか懐かしい硫黄の香り。九月の草津は、空気が少しずつ冷たくなり始めていて、深く息を吸い込むたびに肺の奥まで洗われるような清涼感がある。チェックインを済ませ、案内された部屋に足を踏み入れたとき、まず私を…
湯気に、君の輪郭が消えた瞬間
頬を刺すような11月の風が、コートの隙間から入り込んでくる。草津の町に降り立ったとき、まず感じたのは肺の奥まで凍りつくような冷たさだった。そんな状態で、薬師の湯 湯元館のロビーに足を踏み入れたとき、差し出された一杯の温かいお茶。指先に伝わる…
硫黄の匂いと、冷えた指先で分かち合った熱
電車のドアが開いた瞬間、肺の奥まで凍りつくような鋭い冷気が、容赦なく流れ込んできた。十一月の草津は、空気が研ぎ澄まされており、肌に触れる風がまるで薄い刃物のように冷たい。誰かが「やっぱり厚手の靴下を履いてくればよかった」と肩をすくめてぼやき…