冷たい指先と、迷子になった靴下の行方
鼻先をかすめる空気が、ピンと張り詰めている。1月の白浜は、肺の奥まで冷たくなるような透明な朝だ。潮の香りが混じった冬の風が頬を打ち、意識が心地よく覚醒していく。上の子が「ここは本当にダンジョンなの?」と、少しだけ不安そうに、でも瞳に期待を込…
靴の中で小さく踊る、春の予感
JR白浜駅からホテルへと向かう数分間の道のりは、まるで日常から非日常へと切り替わる緩やかな境界線のようだった。三月の空気はまだ鋭く、冷たい風が頬を叩くたびに、子供たちの頬は熟した林檎のように赤く染まっていく。指先に触れる風は、冬の終わりを告…