二人の足の裏に残った春の温度
足の裏が温かくて、思わず目を閉じた。それは床の温度じゃなかった。数時間前まで誰も触れていないはずの、木のぬくもり。浜千鳥の湯 海舟の「暁の抄」に足を踏み入れた瞬間、床は生きていた。春分の日を過ぎたばかりの午後、この部屋には日差しが直接降り注…
4月 friends U
38 カーテンを開けたら海の匂いがした
駅前でタクシーを拾った時、運転手が「白浜は桜の季節ですよ」と教えてくれた。私たちは「桜を見に行こう」と決めていたはずなのに、誰かが「それより温泉で温まりたい」と呟き、結局桜は見なかった。タクシーの窓から見える海は、灰色の布を波打たせたように…