駅の喧騒と、絨毯の静けさのあいだ
一月の静岡駅前は、刺すような冷たい風が吹き抜けていた。コートの襟を高く立てても、隙間から忍び込む冷気に身体がすくむ。次男が「寒い!」と叫びながら私の足にしがみつき、長男は地図を広げて「あっちじゃないよ」と不機嫌そうに指をさしている。そんな喧…
電車の音と、シャンプーの香りが混ざる夜
下の子が、ホテルの廊下に敷かれた厚い絨毯を「川」だと言い出した。裸足で踏みしめるたびに、足裏に心地よく沈み込む柔らかな感触。彼にとって、その弾力は水面に浮かぶ白い泡のようなものだったのかもしれない。右足、左足。境界線に触れないように慎重に歩…