冷たい指先が、温かいココアに触れたとき
1. カードキーがドアロックに触れる「ピッ」という電子音。それは鼻の奥がツンとするほど鋭い冬風から切り離され、ホテルマイステイズ清水の部屋という家族だけの「秘密基地」へ入るための魔法の合図だった。長男が期待に胸を膨らませ、「僕が開ける!」と…
小さな指先が、コートの裾をぎゅっと掴んだ
ゴロゴロと、アスファルトを叩くスーツケースの車輪の音が、早春の湿った空気に溶けていく。JR清水駅の改札を出てからホテルマイステイズ清水まで歩くわずか3分という時間は、大人にとってはほんの一瞬の移動に過ぎない。けれど、5月の柔らかな日差しが降…